第33回檀信徒研修道場が開催され、43名(男性26名、女性17名)の参加がありました。
今回は近畿圏内にとどまらず、遠く関東からの参加も多数あり、過去最多の大所帯となりました。私は特別講師として、常任講師陣、道場生の皆さんと2日間寝食を共にしました。
大本山妙顕寺様は、一昨年の声明師養成講習所の入所試験以来。あの時は先生方に採点される立場で緊張しましたが、この度は道場生を指導する立場です。ほとんどが人生の大先輩である皆さんに、しっかり向き合えるかどうか…一昨年とはまた違った緊張がありました。
1日目は9時40分からの受付に始まり、夜9時30分を過ぎてようやく入浴。2日目は5時起床で夕方5時の解散まで、通常講義5講の他にお経練習や唱題行、法座、筆記試験、作務、そして朝夕のお勤めと、道場生は息つく間もなくカリキュラムを消化していきます。
そして講師陣は、皆さんのお体の具合を慎重に観察しながら、適度な休憩を入れたり言葉をお掛けしたりするのですが、何だか皆さんとてもお元気で溌剌として見えます。僅か2日間のこの1分も無駄にはしないというお心構えの表れか、講義や法座での発言も多く、時間外の質問も堂内のあちこちで見受けられました。
休憩時間、或いは受講中の講師のジョークに、思わずこぼれる皆さんの笑顔がとても眩しい(人″▽`)☆
初日の入浴は、日付が変わった午前1時。さすがに疲れて、湯船でウトウト。でも、道場生の皆さんは、もっとお疲れだったはずです。講義や実習は勿論のこと、朝の清掃や食堂の準備・後片付けなど、他者を気遣いながらお一人お一人が率先して行動されています。
そんな菩薩行を実践されるお姿に触れるにつけ、まだまだこの国の若者に物申す存在であり続けて欲しいと願うのです。
担当した唱題行は、みっちり1時間使わせていただきました。「さすがに応えたわ~」と足を摩りながら笑顔で仰った男性。廊下で私を捕まえて、「最後のお題目で、何だか急にワァーっと涙が溢れたんですよ!」と興奮気味にまくし立てられた女性。
そんな貴方たちお一人お一人が、私たち講師陣の心を、この研修道場の実りを豊かにして下さいました。
リピーターが多く、そして恐らく経験者からのお声掛けで興味を持たれた1回生が着実に加算されている数字が、これからの檀信徒研修道場のあり方を如実に物語っていると思います。
はきものを そろえると 心もそろう
心がそろうと はきものもそろう
ぬぐときに そろえておくと
はくときに 心がみだれない
だれかが みだしておいたら
だまって そろえておいてあげよう
そうすればきっと
世界中の 人の心も そろうでしょう
藤本幸邦 師
最後に、2日間でとても記憶に残ったお話。
「一泊予定で初めての七面山を楽しみにしていたら、当日は生憎の雨模様でした。まあ仕方ないと登り始めたら雨脚はだんだんと強くなり、頂上ではピークに。まあ明日になれば止むだろうと思ったら、次の日も激しい雨。這う這うの体で下山したら、入山禁止になっていました。あの散々な経験以来、どんな目に遭っても大抵は乗り越えられるようになりました。逆に有難い体験だったと思えます。」
そして、私の班の法座で、ある男性が仰った言葉。
「死んだ親父が檀家総代を長くやっていたこともあって、代替わりして私が総代に指名されてしまいました。それまで、お寺にも信仰にも、大した興味も持てずにいたので、務まるかどうか不安だったし面倒臭そうでした。すると、檀家の人達から何かとお願いされたり、相談されたりするようになりました。私は、今まで人に頼られることなんてなかったんです。それが、とても嬉しく思えたんですよ。」
関係各位の皆様、大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
43名の道場生の皆様、誠にお疲れさまでございました。
合掌