当山では、11月17日に日蓮聖人御入滅第743年のご報恩法要を執り行います。
御会式は、日蓮聖人の御命日の10月13日を中心に営まれる報恩感謝の法会のことです。
「御会式」は、“オカイシキ”ではなく“オエシキ”と読みます。仏教の各宗派に関わりなく法会の儀式という意味で一般的に法要をさす言葉ですが、日蓮聖人の御命日や御逮夜を中心に、その御遺徳を讃えて営まれる会式が盛大に行われ広く知られ、「御会式」といえば日蓮聖人の報恩感謝の法要をさすようになりました。
また「御会式」は、日蓮聖人の肖像(御影)のまえで開くという意味から「御命講(おめいこう)」「御影供(みえいく)」ともいわれていました。松尾芭蕉の句に「御影講や油のやうな酒五升」とあり、信徒の人々が、お祖師さまも飲まれた御酒を供養した当時の「御会式」の光景を知ることが出来ます。また「御影講」を季題とした句が他にも見られることから、元禄の頃には江戸を代表するような盛大な行事となっていたようです。
「御会式」は、厳粛な中にも、お祖師さまが命がけで人々を救おうとされた気概を持とうという心から賑やかに行われてきました。
「御会式」には、御題目や一天四海・皆帰妙法などの文字が書かれたり、日蓮聖人の一代絵図などが描かれた会式花で飾られた華やかな万灯を中心に行列をくんで、纒を振り、太鼓・鉦・笛ではやしながら練り歩きお参りします。
昔は「一貫三百どうでもいい」とそんな声をかけ、うちわ太鼓を叩きながら参拝したといわれています。
当時の日当、一貫三百をフイにしても、お祖師さまの恩に報い、御会式には参拝するという心意気が感じられます。このように「御会式」は、お祖師さまに報恩感謝の供養を捧げる行事として、古くから庶民の手でなされてきました。
弘安5(1282)年10月13日、辰の刻(午前8時頃)、日蓮聖人は池上の地で61歳の御生涯を閉じられました。
日昭上人が、日蓮聖人の御入滅を知らせる「臨滅度時の鐘」を打ち鳴らすと大地が鳴動し、池上邸の桜の木が一斉に花を咲かせたと伝えられています。
この故事にちなんで、御会式を迎える寺院には、柱や鴨居に桜の花に見立てた会式花が飾られます。
『天には桜の花、地には蓮の花』
この世の暗闇を無くし、幸せの光を注いでいくために身を献げた日蓮聖人の願いが、この桜花に込められているかのようでした。万灯に桜の花を飾るのは、こうしたいわれによるものです。
『万灯の花にすがりし子供かな』
一灯でも、万灯です。手作りの桜花を彩った万灯を飾って、本堂を荘厳し営みます。