今月の掲示板は「是好良薬 今留在此」についてです。
訓読では「是の好き良薬(ろうやく)を今留めて此に在(お)く」と読み、法華経の如来寿量品第十六に登場します。
「是の好き良薬」とはお題目のことで、そのお題目をお釈迦様は法華経に留めおいて下さった。
それが日蓮聖人が導き出された答えであり、私たちもその教えを信じ、救いの糧としているのです。
その法華経の肝心(中心)は「如来寿量品第十六」です。この章では法華七喩の一つ「良医治子(ろうい じし)の喩え」が登場し、次のような内容が説かれます。
誤って毒薬を飲んだために苦しむ子供たちに対し、医師である父は良薬を飲むよう勧めます。
しかし、子供たちがその良薬を飲もうとしないため、彼らを救いたい父は方便をつかい、家を出て、自分は旅先で亡くなったことにしました。
その知らせを聞いた子供たちは、父を失った悲しみによって正気を取り戻し、父が残した良薬を飲んで助かりました。
ここで登場する父親は「久遠のお釈迦様」、良薬は「お題目(南無妙法蓮華経)」です。
法華経は「一々文々是真仏」といって、経文の一字一字が仏様そのもの。お題目も単なる文字ではなく、法華経の真髄を表すものなのです。
私たちは普段お題目をお唱えします。その際にお釈迦様の思い、日蓮聖人の思い、そして、お題目を次の世代へと伝承してきた僧侶や檀信徒たちの思い、それらを思い描きながら、良薬であるお題目を唱えてみてはいかがでしょうか。