今月の掲示板は「引導(いんどう)」についてです。
お葬式の際に読み上げる引導について、ご説明します。
葬式と法事の大きな違いの一つに、引導を渡すかどうかがあります。
法華経には、引導に関する経文が何ヶ所か出てきますが、その一つが今回掲載した経文です。
「引導諸衆生 集之令聴法」
〈諸々の衆生を引導して、これを集めて法を聴かしめん〉
この経文は、法師品第十に登場します。すべての人々を法(仏法)により救い、悟りの道へと導くという意味。これは欲令衆(よくりょうしゅう)という経文にもおさめられる、とても重要経文です。
私たち僧侶はお葬式において導師をつとめますが、じつはお釈迦様、日蓮大聖人から委嘱をうけ、名代(みょうだい)としてお葬式を執り行い、引導を渡しているのです。
引導は、字の如く「引き導く」という意味で、大聖人が待つ場所までお連れするのが導師の役目です。そこまでお連れすれば、ご先祖様もいるお釈迦様の仏国土、霊山浄土へと導かれると考えます。
昨今はお葬式が儀礼化し、供養する意味が薄れているように感じます。少しでもお葬式を行う意味を知っていただけましたら幸いです。
※『浄瀧寺だより 令和4年7月お盆号』より抜粋