「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」観覧

 この度(令和7年4月29日)、企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」が開催中のすみだ北斎美術館を訪れました。先日(4月20日)の要伝寺団参でお世話になった浅草正法寺の佐野詮修住職のご紹介で、すみだ北斎美術館主任学芸員で立正大学文学部講師もお務めの奥田敦子氏にもお目に掛かり、別室で貴重なお話を伺うこともでき、有意義な一日になりました。
 企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」では、北斎の作品もさることながら、現在(令和7年)放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の主人公・蔦屋重三郎はじめ「冨嶽三十六景」をヒットさせた西村屋与八、『北斎漫画』を出版した永楽屋東四郎など、稀代の絵師“葛飾北斎”をプロデュースした版元の紹介コーナーが充実しており、実に見応えがありました。
 一方、常設展プラス「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」では、全長約7mに及ぶ北斎幻の傑作画「隅田川両岸景色図巻」の全体を一望できるコーナーがあり、北斎の描く吉原大門・見返り柳をはじめ、大河ドラマ『べらぼう』の作中で度々蔦重が疾走する日本堤の描写などから、当時の雰囲気をイメージすることができました。和本の実物大レプリカに触れることのできる「北斎漫画と北斎の絵手本」コーナーも、体験型展示として興味深く学べ、『北斎漫画』第10編所載の「日蓮上人佐渡島流罪」など日蓮伝に関する作品も実際に手にとって観ることができました。
 同じフロアには、開館当初から児童生徒の学習にも資するスペースとして設けられた「北斎を学ぶ部屋」があり、こちらはふだん混雑時は体験ができないブースが多かったのですが、今回は大型連休が幸いしてか混雑もなく、展示を存分に楽しむことができました。
 何よりも感動したのは、常設展プラスで実物大の展示を鑑賞した直後に、「北斎を学ぶ部屋」入り口で観覧できる「隅田川両岸景色図巻」のデジタル展示です。図巻の巨大なタッチパネルを操作すると、現在の風景写真や壁面スクリーンに表示される地図にリンクするなど、随所に工夫が凝らされていて、時間を忘れ満喫しました。
 是非、企画展とあわせて常設展プラス、ならびに「北斎を学ぶ部屋」も訪れてみてください。江戸の文化に思いを巡らせ、豊かな時間を過ごすことができます。オススメです。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》東京富士美術館蔵「東京富士美術館収蔵品データベース」収録(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/03628/)

なお、以下の放送も併せて御覧下さい。浅草正法寺も登場します。
・NHK日耀美術館「蔦重と歌麿・写楽・北斎」2025年5月4日放送

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