日印国交樹立70周年

 令和4年(2022)は、日印国交樹立70周年となります。
 2022年11月25日から2023年1月20日までの間、広島県立美術館では、日印国交樹立70周年記念特別展 「絵画で紡ぐインドと日本のきずなーウペンドラ・マハラティと高山博子―」が、2023年1月14日から3月21日までの間には、神戸市立博物館で、インド独立75周年・日印国交樹立70周年 「インド近代絵画の精華展~ナンダラル・ボースとウペンドラ・マハラティ~」が開催されます。
 両展で作品が披露されるナンダラル・ボース(1882-1966)とウペンドラ・マハラティ(1908-1981)は、ともにインド近代美術を代表する芸術家です。
 ボースは、アバニンドラナート・タゴール(1871-1951)をはじめとするベンガル派の画家たちから大きな影響を受けたことで知られています。ベンガル派は、20世紀初頭、岡倉天心(1862-1913)・横山大観(1868-1958)・菱田春草(1874-1911)といった日本近代美術の重要人物たちとも交流し、急激な西洋化の波の中で、自国の美術が失われるかもしれないという危機的な状況を共有しながら、西洋画ではなく伝統的な絵画技法を重視しました。
  マハラティは、ボースの次世代として登場し、インド近代絵画を牽引した重要な画家のひとりです。ボースの美術にたいする姿勢に影響を受けたと言われています。マハラティは、西洋のアカデミックな絵画や水洗いの技法(ウォシュ・テクニック)、テンペラによる絵画などを学ぶとともに、工芸技術や建築設計を含む幅広い技術を習得しました。1950年代に2年間日本に滞在しており、留学を契機として仏教的な主題を多く手掛けるようになりました。
 当山第38世 要中院日妙(髙森聖一)上人は、インド巡拝の際にマハラティ氏と交流し、釈迦牟尼仏坐像の作成を依頼します。これを原型として彫塑家の阿部正基氏が塑像を作成し、鋳金家の 菓子満(かし みつる)氏・堀川次男(ほりかわ つぐお)氏によって鋳造されたのが、現在の要傳寺本堂の本尊です(寺報『法住』41号参照)。

銅造「釈迦如来坐像」(要傳寺本堂)

ウペンドラ・マハラティ作「釈迦如来坐像」および「仏頭」(要傳寺蔵)

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