みなさんこんにちは。今日の川棚町は午後から強い雨になりました。
さて昨日までの妙玄庭ですが滝の石組みと、流(小川)の基礎工事が進んだようです。写真を見る限りですが滝の石組みが想像していたよりも大きいかな?と思いました。結構大きい木も2本植栽されているようです。
、、、、とこんな書き方をするのは、私が今入院中で妙玄庭を直接見てレポートすることができないからなのです。
実はわたくし、6月27日に入院して翌28日に胆のう摘出手術を受けました。
長年密かに隠し持っていた(?)胆石がだんだん大きくなってきており、この数年来体調もだるさがずっと続く感じですっきりしなかったので、お医者様に相談し精密検査を受けたところ「胆のうごと取ったほうがいいだろう」ということで、手術を受けることに決めたのが4月の終わりごろ。それから約2か月してやっと手術を受けることができました。
というのも、お恥ずかしい話なのですが私は体重が標準よりもかなりオーバーしていて、腹腔鏡下胆のう摘出術(お腹に穴を4つほど開けてそこから内視鏡等の機器を入れてモニターで見ながら手術をする)がこのままじゃ難しいかもしれない。開腹手術になると治りも遅いし体に負担が掛かるので、できる限り腹腔鏡下手術をしたい。
「だから体重をできる限り減らしてくれ」(笑)ということで2か月あまり食事制限等でダイエットをしておりました。家族の協力で油ものをできるだけ控え、胆のうが炎症を起こしそうな食べ物を控え、お昼はおにぎり2個とサラダのみという食生活でゆっくり時間をかけて5~6キロほど体重を落とすことが出来ました。
大した手術ではないからそんなに心配することはない。大丈夫。と主治医の先生はじめ執刀医の先生からお言葉を頂きましたが、内臓を1個取り除くと考えるとやはり緊張はしておりました。
インターネット等で手術体験(もちろん失敗談も)を探しては読み、主治医から病気の質問をされるとすぐさま答えられるだけの知識を得、その知識がまた不安を呼び起こす(笑)というまた例のぐるぐる考え病からやっと脱出できるのは嬉しい限りであります。
手術当日。前日夜から絶飲食でしたが、それは大して気にならずあっという間に手術時間の午後1時を迎えました。
着替えを済ませ手術台へ登ります。BGМにはお願いしておいたクラシック音楽が静かにかけてあります。(前もってBGМは何がいいですか?と聞かれました)
全身麻酔ですのでその説明を簡単に受け、酸素マスクを装着されました。このマスクがとても窮屈に感じて息がとてもしづらくこのまま麻酔がかかったら死ぬんじゃないか(笑)と考えると軽いパニックになりそうになり、「一度マスクを外して貰えませんか?」とお願いしてマスクを外して貰い深呼吸を3回ほどしました。
そういえば手術前のMRIの検査を受けた時もとても窮屈で息がしづらく、(しかもこの時はヘッドホンで僕のとても嫌いな音楽が流されていてありえないほど最低の気分)軽くパニックになりそうだったので、もしかしたら閉所恐怖症の気があるのかもなあと考えていると、麻酔医の先生から、「酸素マスクはしっかりつけとかないと危ないから!」「今日は特にしっかり付けとかないと!」という言葉が強い調子で看護師さんに向かって発せられ、「あぁ僕のお願いで看護師さんが怒られてる。そんなにイライラしなくてもいいのになぁ」(そりゃ命が掛かってるから当然だろうけど)とかぐるぐる考えているうちにあっという間に深い眠りの中へ落ちていきました。
「合川さん!合川さん!無事に終わりましたよ!」ぼんやりとした夢の中にいるようでしたが、へそのあたりの痛みで「あぁ手術が終わったんだなぁ。また生きてるんだなぁ。お腹は開けずに済んだのかなぁ。」と思いました。
寝たまま手術室から運び出される時に、手術室にお勤めされている檀家さんから「お上人さま、無事に終わりましたねー。頑張りましたねー。」と声を掛けて頂きました(多分合掌していただいてた気がします)。なんだかじわーっと涙が出そうになりました。
1時間から2時間で手術が終わる予定だと聞いていましたが、ICU(集中治療室)に移動するまでの間、廊下の時計がちらっと見えて午後4時半くらいだったので、「あぁ予定より結構時間が掛かって大変だったんだろうなぁ。申し訳ないなあ。」とも思いました。
時間が掛かった理由は、長年(多分20年ほど)胆石を持っていたため慢性胆のう炎を起こしていて胆のうと肝臓に少し癒着があり、通常胆のうを切って取り出すだけの手術のはずが、一度胆のうを切り開いて胆石のみを取出して、その後胆のうと肝臓をゆっくりはがして胆のうを切除して取り出したということでした。
胆のうを切り開いた際に、胆汁(私の場合は胆のうが機能していなかったらしく、無色透明の胆汁だったらしい)が少し漏れ出したということも聞きました。
これは本当はあんまりよくないけれども、ちゃんと管を入れて出してしまうので問題ないというお話でした。
他の病院から肝臓のスペシャリストの先生をわざわざ呼んで頂いていたようで、執刀医の先生も安心して手術ができたとおっしゃっていました。ありがたい限りです(開腹もしなくて済みました)。
ICUでは一晩中ほぼつきっきりで看護して頂きました。2時間ごとの血圧測定、体温もそれほど問題はなく順調なので心配ないとのお話でした。
このICUで一晩看護していただいた看護師さんは小柄な女性看護師さんでしたが、本当に使命感に燃えて仕事をしておられる様子がその美しい目と機敏な動きからありありと伺えます。
真夜中2時過ぎごろ「看護師さんは大変ですね。」とまだ麻酔が抜けないイガイガの喉を絞ったかすれ声でお声を掛けると「私はまだ大きな手術を受けたことないので、わからないんですよー。でも患者さんの痛みは少しでも取ってあげたいと思っています。」というお話でした。私もその精神をぜひ見習いたいと思いました(抜苦与楽)。
体に入れてある尿を出す管からうまく尿が出ずに夜中じゅう強い尿意だけがありかなり苦しかったのですが、この看護師さんは管の角度を変えてみたり、管をマッサージしたりしていろんな工夫をしてくれました。
ICUには重篤の患者さんがどんどん入ってこられます。
お一人は危篤状態で延命措置をするかどうかの話をされているのが聞こえてきましたし、一晩中叫び続けている患者さんもおられました。
私も一度血圧が急降下し、全身脂汗と吐き気を催しましたが、ICUに入っている患者の中では私は一番軽度であるようでした。
慌ただしく物音が常にしているICUで命の瀬戸際というのを目の当たりにし、命のありがたさをつくづく考えた眠れない一夜になりました。
(結局尿は朝までうまく出ず、朝8時すぎごろ管を抜いてもらい、その後数時間してやっと自分でトイレに行き排尿することができました。排尿もこんなに気持ちのいいものなのか!と感じました。)
そして今術後3日目。病室でこの文章を書いています。
昨夜痛みどめと点滴の管が抜け、体に管がついていない幸せ、食べることが出来る幸せ、またぐるぐると考えることができる幸せをゆっくりと噛みしめています。
仏祖三宝と、常在寺で私の分まで仕事をしてくれている住職はじめ山務員のみんな、足しげく病院に通って来てくれる妻、そして檀家のみなさまに感謝をしてこの手記を終わりたいと思います。
胆嚢のない男 泰通記