丙午の年を、感謝とともに歩む
令和八年は、丙午(ひのえうま)の年です。
「午(うま)」は前へ進む力を、「丙(ひのえ)」は太陽や炎のような明るいエネルギーをあらわします。そのため丙午の年は、物事が動きやすく、変化の多い一年になると言われてきました。
勢いがあり、前向きになりやすい反面、気持ちが先走ったり、心が少し熱くなりすぎたりすることもあるかもしれません。昔はこの干支を不安に思う人もいましたが、仏教では、年や運命そのものが人を不幸にするとは考えません。大切なのは、その年をどんな心で生きるかなのです。
ここで、私たちの心を「車」にたとえてみましょう。車は、アクセルだけでは走れません。止まったり、スピードをゆるめたりするためのブレーキがあってこそ、安心して目的地へ向かうことができます。もしブレーキのない車があったとしたら、どれほど性能がよくても、怖くて乗れません。実は私たちの心も、それとよく似ています。やる気や情熱は大切ですが、それだけでは疲れてしまったり、知らず知らずのうちに、周りを傷つけてしまうこともあるのです。
丙午のように勢いのある年だからこそ、ときどき心にブレーキをかけることが大切になります。忙しい日々の中で、少し立ち止まり、深呼吸をする。静かに手を合わせ、南無妙法蓮華経と唱えてみる。それだけでも、心のスピードは自然と整っていきます。
ブレーキは、進むことを邪魔するものではありません。むしろ、安心して前へ進むために欠かせないものです。ゆっくり進むからこそ見えてくる景色もあり、立ち止まるからこそ気づける人のやさしさもあります。
そして、その一つひとつに目を向けていくと、私たちの周りには、すでに多くの支えがあることに気づかされます。家族の存在、日々の暮らし、当たり前のように続いている今日という一日。それらは決して当たり前ではなく、ありがたいご縁の積み重ねです。
この丙午の一年を、勢いに流される年ではなく、立ち止まり、気づき、感謝を深める年にしていきましょう。感謝の心は、人生を穏やかに照らす灯りとなります。仏さまへの感謝とともに、実り多き一年を歩んでまいりたいものです。
合掌


