書道展にて

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日頃よりお世話になっている小野玲華先生一門の書道展が、岡山市の天神山文化プラザ(旧 岡山県文化センタ-)にて開催されています。(6月17日~22日)
かなの作品を中心に力作揃いで、多くの書道ファンで賑わっていました。
あわせて開かれていたのが小野玲華先生の師匠にあたる故小野桂華先生の遺墨展でした。
小野桂華先生は、平成二十二年にご逝去されましたが、かなを中心に多彩な書風をもった優れた作品をのこされました。
多くの作品の中で、特に目を引いたのが「原爆」と名付けられた大きな書です。
桂華先生のお父様は、広島の原爆で亡くなられたそうです。
この作品は、桂華先生が最期に書かれた大作、絶筆です。入退院を繰り返していた晩年、一時帰宅でアトリエに戻られたとき、病による手の震えを薬で抑えながら、渾身の思いを込めて書かれた書。紅や黒色の下地も先生が描かれたものです。四首の自詠の歌が書かれています。
 被爆者の叫びは地熱の火にも似て 視界を掩ふ紅蓮の炎
 苦しみて自らむしりし爪と皮膚 残したる死をまじまじと見き
 灰となり砂利となりたる父の骨 見たる憤り何に祈らん
 もの音の絶えはてし地に街路樹の ひらく緑をかなしみにけり
本年9月6日、日蓮宗では広島平和記念公園にて、宗務院主催の「広島原爆追悼法要ならびに世界平和祈願祭(仮称)」を行うことになりました。その知らせを聞いた翌日、このような書作品に巡り会えたことも不思議な因縁であるように思われました。

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