令和6年5月30日、岡山仏教テレホン相談室と岡山市佛教会の共催による内部研修会が「アーバンホール西川原」を会場に実施されました。
これは例年、岡山仏教テレホン相談室主導で行われている研修会です。
今年はテレホン相談室会長の曹洞宗景福寺御住職 佐藤晃雄師の発案により他宗の葬儀を学ぶことをテーマに、葬儀会場を借りて実際に模擬葬儀を行うという形で研修が行われました。
各宗派の僧侶約30名の参加で、日蓮宗からは6名の出席がありました。
最初に曹洞宗の葬儀の実演。
導師はテレホン相談室会長の佐藤師が務められます。
威儀を正した導師に2名の方(日蓮宗でいう役僧)が加わり厳かな葬儀が行われます。研修のために事前に葬儀内容を説明した資料が配られ、要所要所では解説をしていただけるのですが、何しろ初めて見る曹洞宗の葬儀です。よく分からないところも多いのですが、たいへん興味深く拝見いたしました。
配布資料には以下のとおり、全般的な解説がありました。
14世紀、室町時代に禅宗で葬儀がはじまりました。亡僧葬儀法(いわゆる僧侶の葬儀法)です。現在においては、本来出家授戒によって与えられるべき戒名を、葬儀に際して付与する『没後作僧』が主流になっています。このような考え方が登場するのは「没後授戒之作法(1567)」の近世初頭です。この頃から僧侶の葬法が在家の葬儀に転用され、故人を佛弟子となす没後作僧のための授戒を中心とする葬儀法が確立され、17世紀、江戸時代になると一般にも定着し、現在にいたっています。特徴は式の中でいくつもの細かい法要を続けて行っていることです。また、近年では和文でお唱えしている寺院もあります。
引き続き、真言宗の葬儀の実演がありました。
導師は、真言宗寶泉寺御住職 川染博文師です。息子さんが脇僧を務め二人で執り行う葬儀の形です。
安楽院御住職 阿河康真師が詳細な資料を作成の上、式中の解説をしてくださいました。
真言宗は印を結んだり、梵語で真言を唱えたりされるので、日蓮宗とは全く異なる感じです。
配布資料には、基本理念として以下のとおり記されていました。
二巻帖が元となって現在の引導作法が作られていった。基本的にお亡くなりになられた方に授戒作法を行い、仏道に入っていただき蜜厳国土へ往生していただく事とする。初期の頃は引導六通印信を授けたり、大変複雑で時間も要していましたが、近年は時間に制約があるため供養法と灌頂を行い血脈をお授けして仏弟子として送ります。
いずれの模擬葬儀も研修として約30分で行うため、途中は端折って実施されました。
本来であればいずれの宗派の葬儀も、1時間~1時間半はかかる儀式のようですが、現在では現実的な葬儀時間の問題から、40~50分間の葬儀となっているようです。このあたりの事情は、宗派にかかわらず変わりはありません。
大変興味深い研修会でしたが、引き続き来年もこの内部研修会は実施されるようで、3年間で6宗派の葬送儀式の研修を行う予定と伺っています。
なお仏教テレホン相談室・岡山市佛教会の内部研修会との位置づけですから、残念ながら会員以外の参加はできません。