5月30日、京都市上京区の西陣にあります本瑞寺様(小田和幸住職)で、部経会という集まりがあり、早朝から20名を越える有志僧が参集しました。
本瑞寺様の歴代住職の中に、日栄(にちえい)上人という大変に高名な先師がいらっしゃいます。字を忍辱鎧(にんにくがい)、覚耀院と号します。享保の初め頃に本瑞寺第九世としてこの地に住し、学僧として知られていました。また、日蓮宗修法である唯観流の開租唯観日勇師より唯観流祈祷を師資相承され、唯只管に修法道に精進され、その道を極められました。そんな由緒正しき御寺院をあずかる小田住職ですから…読経も、木柾(もくしょう)も、修法も、全てにおいて我々のお手本となるお方で、大変に尊敬申し上げております。
3年前、京都日青会の部経会に初めて伺い、本堂の扉越しに初めて聞いた小田上人の木柾は、田舎から意気揚々と出て来た中年僧侶(私)を震え上がらせ、瞬く間に意気消沈させるに十分な迫力でした。でも、今では本当にありがたい存在なのです( -人- )拝…
その後は、青年会の歴代会長をはじめ、お経の達者な方が大勢いらっしゃる中で、法音に五官を刺激され、まるで手を引かれるように通い続けた部経会でした。
私達僧侶は、毎日欠かさず朝勤などでお経(法華経)を読みますが、いつも単独で読んでばかりいると、ついつい独り善がりな読誦になったり木柾になったりします。1人であろうが、10人であろうが、100人、1,000人であっても「要す、須く(すべからく)一心専念して音吐遒亮(おんとしゅうりょう)に文句秀明なるべし。所謂、法音を歌誦して、これを以て音楽とするものか。」(深草元政上人)と誦経文でお示しの通り、声音は強く、明らかにしっかりと、一定のリズムではっきりと経文を唱え続けなければならないのです。
また、天台大師智顗(ちぎ)の作と伝えられる「頂経偈」の偈頌(げじゅ)には、次のような文があります。
稽首妙法蓮華経
薩達磨分陀利伽
一秩八軸四七品
六万九千三八四
一一文文是真仏
真仏説法利衆生
衆生皆已成仏道
故我頂礼法華経
※一帙(ちつ)=書物の傷みを防ぐために、一まとめにして包む入れ物。袋。
※八軸=法華経の巻。全八巻
※四七品(ほん)=法華経の品。全二十八品
※六万九千三八四=法華経の文字数。69,384文字。
これは「法華経二十八品は69,384の文字で構成されるが、その一文字一文字すべてが仏様(一一文文是真仏)である。」ことを表し、正しい法が皆を救けて共に仏道を成就することが出来ると説いています。
今回の部経会のように、八巻品から成る法華経を、多くの僧侶で長時間かけて通読することがあります。「法音を歌誦する」ような域には到底たどり着けませんが、先にご紹介した先師の御遺徳を偲びながら、その訓えを深く胸に刻み、異体同心にして読誦行に精進して参りたいと思います。
僅かですが、当日の様子をアップします。(児玉上人撮影)
また、京都の帰りに必ず聴くお気に入りの曲もアップします。多少不自由でも、あの頃の僕らが必要なんじゃないかな~(○´∀`)θ~♪
あの頃は、何も無くて
それだって、楽しくやったよ ・ ・♪