今月のおはなし 第3回

 先日、私のお寺でもお盆施餓鬼の法要を行いました。
普段とは違って、大勢の人とお会いできる数少ない機会。
久しぶりにお会いする人、普段からよく顔を合わせる人、大勢の顔ぶれを見ながら、檀信徒の方々と会話をしながらふと思うことがありました。
マスク姿が定番となる中、顔の大部分がマスクに隠れて見ることが出来ません。
いつもなら、相手の表情を見ながら、体調とか精神状態を気遣いながら会話ができます。
当たり前のようにやれていた気遣い、表情が見れないせいでやりづらくなってきています。
そのせいか最近コミュニケーション不足で不安を感じる人が増えているそうです。
仏教用語に布施という言葉がありますが、他人の不安を取り除くことも立派な布施です。
布施というと金銭や物を施すことと勘違いされている方も少なくないかと思います。
財産が無くてもできる布施、それは人の不安を取り除きその人の心に明かりを灯すこと。
あなたの笑顔と温かい言葉が相手の不安を取り除く。
こういう時代だからこそ、私たちも常日頃から心掛けたいものです。

【妙傳寺内 稲垣 友清】

一覧へ