今月のおはなし 第4回

 先月のこと、早朝に電話が鳴った。それは弟からの電話であった。「兄ちゃん、朝起きたらお母さん冷たくなってて、いま救急車呼んで救急隊の人に心肺蘇生してもらってる・・・」とのことだった。私は、眼の前が真っ暗になった。生き返って欲しいと本堂で祈った。それからしばらくして再び電話が鳴り、母は帰らぬ人となった、72歳だった。それまで、母が居てくれて当たり前だと思っていたが、突然の死を通して自分の日頃の愚かさに気付き猛省した。これまでお寺の行事、子供が生まれた時など困った時にはいつも新幹線に乗って母が来てくれた。「親孝行、したい時には親はなし」という言葉が、何ひとつ恩返し、親孝行できていない自分の心に突き刺さった。母を湯灌した時『我が頭は父母の頭、我が足は父母の足・・・』日蓮大聖人のお言葉の重みを痛感した。母は誰に対しても親切で優しい人だった。その姿、心を見習い受け継いで、人生を歩んでいこうと誓った。

【最経寺内 深沢友延】

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