掲示板「自我偈の一節」

今月の掲示板は「自我偈」の一節です。

〈毎自作是念 以何令衆生 得入無上道 速成就仏身〉
訓読では「つねに自ら是の念を作す 何を以てか衆生をして 無上道に入り 速やかに仏身を成就することを得せしめんと」と読みます。

自我偈とは、妙法蓮華経 如来寿量品第十六の後半にある偈文(詩)の部分を指します。
多くの経典は散文と詩文の形式で構成され、お釈迦様が残された教えは経典が成立するまで、お弟子たちがその教えを詩などにして記憶し、口伝えで後世に残してきました。

法華経も散文と詩文の形式で構成され、大事な教えを繰り返しながら編まれています。 
散文とは韻律や句法にとらわれず書かれた文章のことで、詩文とは一定の形式に則り書かれた文章のことです。

今回紹介する経文「自我偈」は各五文字で構成され、方便品第二とともに法華経の要(かなめ)のお経で、僧侶が朝夕のお勤めや葬儀・法事の際に必ず読経します。

そして、寿量品で初めて「久遠のお釈迦様」が顕された、法華経の大変重要な箇所です。その寿量品の結び部分の経文が、今回ご紹介した経文です。

意訳すると、「私(お釈迦様)はいつもこのように念(おも)っている。何とかしてすべての衆生を、この上ない悟りの境地へ至らしめ、少しでも速く成仏してもらいたい」です。

お釈迦様は私たちが知ろうと知るまいと、すべての衆生を救いたいという誓願を立てられています。それは本当に有り難いことであり、じつは私たちの大きな支えにもなっているのです。

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