本章では、普賢(ふげん)菩薩が東方の宝威徳上王仏国から神通力により、法華経を聞くために娑婆世界を訪れます。
普賢菩薩はお釈迦様に礼拝し、法華経を聞くことを願います。そして、お釈迦様入滅後、どのようにしたら法華経を受持できるかを質問します。
そこでお釈迦様は、四法(しほう)を成就すること(四法成就)で、この経を身につけることができるとお答えになります。
四法とは、①諸仏に護られていることを信じること、②多くの徳を積むこと、③必ず仏になると信じること、④一切衆生を救おうとする心を起こすこと、です。
それを聞いた普賢菩薩は、お釈迦様入滅後にこの経を受持・読誦する者があれば、六牙の白象王に乗って菩薩衆とともに目の前に姿を現し、守護すると誓います。そして、その人に陀羅尼(だらに)の呪文を与え、悩ませ惑わせられることから救うと言われます。
法華経の最終章である本章が説かれ、その場にいた大勢の菩薩達は普賢菩薩の陀羅尼を知り、また普賢菩薩の悟りを得ました。
そして、その場にいた菩薩達は大いに歓喜し、お釈迦様に礼拝して説法の場である霊鷲山を去って行ったのでした。
【普賢菩薩について】
普賢菩薩は、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇士として如来の救済活動を援助されます。文殊菩薩の智慧に対し、普賢菩薩は「行」の菩薩とされています。
普段なかなか耳にする機会がないかもしれませんが、法華経の結経にあたるお経に「観普賢菩薩行法経」があります。この経典は法華経修行者の具体的な実践方法を明かすもので、法華経の滅罪思想を代表し、六根懺悔法などが説かれています。
また、普賢菩薩の名が付くものに「普賢三宝荒神(ふげんさんぼうこうじん)」があります。こちらは日本古来の民間信仰の神である荒神(竈の神)と普賢菩薩信仰が融合し、日蓮宗では普賢三宝荒神と称し、「竈(かまど)の神」としてお祀りされています。年末には「カマジメ」を行い、一年の御礼をします。