檀信徒各位
夏といえば怪談の季節。民俗学者で国文学者の折口信夫によれば、夏の怪談物は、歌舞伎界が、それまで農村で行われていた民俗芸能「盆狂言」の伝統を取り込み、「涼み芝居」と称する怪談芝居として興行したことに始まると言います。
日本の夏の年中行事である「お盆」には、あの世から死者の霊魂が帰ってくるとされ、各家では「盆棚」を作ったり、「迎え火」を焚いて、祖先の霊魂を迎えます。しかしお盆には、祖先の霊だけでなく、祀る人の絶えた無縁仏や恨みを抱いた怨霊も帰ってくると考えられました。「盆狂言」は、そうした浮かばれぬ亡者の苦しみと成仏を演じる「鎮魂の芸能」でした。
「お盆」の行事がある日本の夏は、祖先の霊魂と交感する季節であり、また怨霊の無念を語る季節、すなわち怪談の季節でもあるのです。
当山では、下記の通り、盂蘭盆施餓鬼会にあたり文化講座(第6回)・鎮魂の芸能「怪談」を予定しおります。
檀信徒の皆様には、詳細が決まり次第、改めてお知らせいたします。 住職
記
演題 鎮魂の芸能「怪談」
日時 令和3年7月17日(土)午後1時より 新型コロナウイルスの感染拡大にともない中止といたしました
*当日は午後2時より当山の盂蘭盆施餓鬼大法要を執り行います。
講師 三木大雲師(日蓮宗蓮久寺住職・怪談和尚)
*要傳寺「文化講座」とは
要傳寺では、檀信徒の皆様に歴史・文化・芸能に親しんでいただく「文化講座」を開催しております。過去には、落語家の古今亭圓菊師匠(平成5年)、三味線漫談家・俗曲師の玉川スミ師匠(平成18年)、富岡製糸所世界遺産伝道師の速水美智子氏(平成28年)、講談師の日向ひまわり師(平成30年)、香道御家流師範の寺尾康江氏(令和元年)をお招きしました。