30歳(一説には35歳)で悟りを開きブッダ(仏陀)の境地に達した仏教の開祖お釈迦さま(釈尊)は、80歳で亡くなるまでの50年間、一切衆生の平等を強く主張され、人間そのものへの深い内省や清く生きるための道などを、やさしく穏やかに説かれました。人々の能カや資質、あるいは置かれている境遇などに応じて、譬喩を交えながら説かれるその教えは、聞く者の気づきを促し、じわりと心に染み入っていきます。
釈尊が亡くなられた後(入滅後)、それらの教えを後世に残すため、主な弟子たちが集まって教えの編纂(結集)を試み、そののち数百年を経て、文字で書かれた教えとしてのお経(経典)ができ上がりました。こうしてまとめられた「ブッダの教え」を「仏教」といいます。
2500年の時を経て、お経として現代に伝えられてきた釈尊の教えは、多くの人びとの精神的なよりどころとなり、現実の生活と心の実際にふれる、生きた指針として、私たちの心を満たしてくれます。その教えが、多くの人々に支持され、今なお、その輝きを失わないのは、そこに説かれる言葉が「真実」であるからにほかなりません。