書家の井上有一さんの展覧会が瀬戸内市立美術館で開かれています。
井上有一さんは大正5年、東京の熱心な日蓮宗の家に生まれました。
戦後、有一さんは教職に就きながら書に打ち込みましたが、書家として大きな飛躍の契機となったのが、昭和24年父親の死後、供養のために一心に書写した「自我偈」でした。
その後も伝統的な書の観念を破るような前衛的な作品を次々に発表し、海外でも高い評価を得ました。
展覧会場で初めて、漢字一文字を大きく書いた「一字大書」の作品を見ましたが、圧倒的な迫力に驚きました。巧拙という尺度を超えた世界がありました。
瀬戸内市立美術館は、牛窓の穏やかな海を望む瀬戸内市役所牛窓庁舎の3・4階にあります。「没後30年 井上有一展」は6月14日までの開催(月曜休館)です。