10月3日(木)、秋の大曼荼羅さま、ご開帳が行われました。
当山の大曼荼羅さまは、中央に墨痕鮮やかに御首題(南無妙法蓮華経)が書かれ、その周りに法華経守護の三十番神が彩色の絵で描かれています。
かなり大きなもので、36枚継ぎの本紙は丈が3.4メートル、幅が2.6メートル。表具を入れた大きさは、丈5.7メートル、幅3.3メートルになります。現在は本堂の天井から電動で吊り下げますが、天井の高さが十分ではないため、残念ながら大曼荼羅さまの全体を広げて拝むことはできません。
室町時代初期のもので、中央の御首題は当山御開山の大覚大僧正様の御真筆です。
周囲の三十番神の絵については作者など不明ですが、歴代の先師や檀信徒によって大切に護られてきたため、600年以上の時代がかかっているとはいえ、三十番神の絵も比較的きれいに残っており、平成17年に行いました「平成の大修復」を経て荘厳な姿を顕しています。
大曼荼羅の行事は、大曼荼羅さまの掛け軸を収めた箱を宝蔵から本堂に移して、天井から大曼荼羅さまを吊り下げる作業から始まります。今回は富田講中・木村講中の皆さんのご協力により作業が進められました。午前9時から40分程度の作業ですが、なにしろ「寺宝」ですから慎重に作業を進めていきます。
無事に大曼荼羅さまが本堂に吊り下げられますと、読経唱題のもとでの「ご開帳」となります。
一般の方のご参詣は午後1時からですが、午後2時半頃、法要の途中に再び講中の皆さんのご協力の下「ご閉帳」します。大曼荼羅さまを天井より下ろして元の箱に収め、両端を脚立で支えて御宝前に安置し、参詣の皆さんがその箱の下を次々にくぐり抜けていきます。大曼荼羅さまの御利益をいただく「おくぐり」です。すべての行事が終了すると、大曼荼羅さまを収めた箱を再び宝蔵に戻し、来年の春まで大曼荼羅さまにはお休みいただくことになります。
法要の最初に通常は法話をするのですが、本年はいつもの法話に代えて岡山市内にある仏具店「三香堂」の森脇亮介氏にお願いして、「お香のお話」をしていただきました。お香はお花・お灯明と並んで仏様へのお供えの基本となるものですが、詳しくお話を聞く機会はあまりありませんので、専門の方のお話が聞ける良い機会となりました。
当日は、お店から3名の方にお出でいただき、お話と共に実際にさまざまな香を焚いて、参詣の皆さんにそれぞれの香を試していただきました。今まで何気なく使っていた線香や焼香もさまざまなものがあることに皆さん驚かれていたようでした。仏様への御供えとして高価なものでなくとも、ご自身が気に入った香りのものを御供えするのは気持ちの良いものだと思います。本年は趣向のかわった良いお話になりました。