井戸掘りはむずかしい!

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

井戸掘りを計画しました。

最近、全国でさまざまな自然災害が発生しています。
比較的災害の少ない地域とされている岡山でも、近年倉敷市真備町周辺では大雨による水害がありました。
大規模災害が起こると電気・ガス・水道などのライフラインが断絶しますが、この中でも特に復旧に時間がかかるのは水道のようです。
テレビの報道映像でも給水車の前にバケツを持って列をなしている様子がよく映ります。

昔、妙勝寺の境内には何カ所も井戸がありましたので、この機会に災害対策を兼ねて井戸を掘っておこうと思い立ちました。
知り合いの建設会社に井戸掘り専門業者の方を紹介していただき、お盆明けの8月21日から試掘が始まりました。
本堂の北側、妙勝寺北駐車場との間の土地にパイプを打ち込んで井戸を掘ります。
万が一の災害の際には、妙勝寺北駐車場を開放して新しく掘った井戸から地域の方に給水ができる便利な場所と考えました。

地下6~7メートルまで掘った辺りで地下水が出ました。
しかし、調べてみると塩分を含む水です。塩水では日常生活に使うことはできません。
なおも次々とパイプを継ぎ足し、地下深くへと掘り進めていきます。
硬い岩に当たりなかなか深く掘れない場所もありましたが困難を乗り越え、パイプは地下20メートルを超えました。
砂の堆積層から細かい砂利の地層へと進み、地下水も出できますが残念ながら塩水です。
塩分濃度は2パーセントから4パーセントの間で変化します。

結局、4日間かけて地下27メートル付近まで掘り進めましたが、出てくる地下水はすべて塩水。
詳しい水質検査はしませんでしたが、残念ながら飲用に適する水ではありません。
もっと深く掘って別の水脈を探すという選択肢もありましたが、良い水が確実に出る保証はありません。
協議の結果、今回の井戸掘りはこれにて終了となりました。
まことに残念な結果になったのですが、「井戸掘りはむずかしい!」とため息が出ました。

因みに「地下水の塩水化」は現代的な問題のようです。

平成30年に農林水産省 が発行した『農業地域における持続的な地下水利用の手引 き』によると地下水の過度の利用はさまざまな弊害を起こすようで、「地下水の塩水化」もその一つのようです。以下の記述があります。

「井戸から地下水を汲み上げると、井戸とその周辺の地下水位は低下します。(中略)地下水位が海水面よりも低い状態が続くと、海水を引き込み、井戸に塩水が入ることがあります。これが、地下水の塩水化です。一度、塩水化するとすぐには元に戻らず、地下水の農業利用が難しい状態となります」

妙勝寺は海から約6~7キロメートル離れていますが、近くを流れる旭川の汽水域(淡水と海水が混じりあっている水域)はもっと上流の岡山県庁付近と聞いていますので、妙勝寺辺りまでは海水が旭川を遡っていることになります。
地下水の利用は農業に限らず、工場などでも利用されますから、昔に比べて地下水位が下がっているのかもしれません。
調べてみると、地球温暖化による「地下水の塩水化」の問題もあるようです。

今回の井戸試掘によりいろいろと勉強になりましたが、井戸水確保がままならない現状では大きな災害が起こらないことを祈るばかりです。

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

一覧へ