今月の法話

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「怨(うらみ)、辛(つらみ)、妬(ねたみ)、嫉(そ ねみ)、嫌(いやみ)、僻(ひがみ)、八束水(やっかみ)」
この言葉は、自分が欲しいと思っているものを持ってい る相手に対して快く思わない感情、所謂、嫉妬心を表す言葉です。これを仏教的に解釈すると7つの「苦しみ」とも言えると思います。
私たちがこの世に生まれてくる時は裸です。何も身に着 けず、純粋無垢な心をもって生まれますが、成長の過程で自分と人とを比べることにより少しずつ先の「7つの苦しみ」が心に芽生えてきま す。
仏教では、これらの嫉妬心は煩悩の1つ「慢心‐まんし ん」によって起こるとされます。慢心とは自分を人と比べ、自分を過大に評価したり、逆に過小評価することによって生まれる「迷い」です。
では、このような迷いを生む慢心を抑えるにはどうした らよいのでしょうか。私の好きな仏説の一つに以下のような教えがあります。「池の中に蓮華あり、大きさは車輪の如し、青蓮には青い光、黄 蓮には黄色い光、紅蓮には赤い光、白蓮には白い光あり。みな微妙香潔なり」。これはお釈迦様が浄土の世界を表した阿弥陀経の中の教えで す。
浄土とはそれぞれ色の違う蓮が、それぞれに具わった光 を放ち、皆それぞれが素晴らしい香りである。このように個々を尊重した状態が浄土(悟り)の世界であるとお釈迦様は説いているのです。反 対に自分を他者と比べ、勝手な物差しで優劣や勝ち負けを加え、嫉妬したり、軽視することは地獄(迷い)の世界ということです。
数年前に「世界で一つだけの花」という曲が売れました が、歌詞の内容は先に紹介しました、浄土の世界を表した釈迦の教えと同じです。スポーツを好きな方であれば、どのポジションもそれぞれが 重要で、それぞれに大切な役割があることを理解出来ると思います。文化や芸術がお好きな方であれば、劇や音楽には色々なキャスティングや パートがなければ成り立たないことをご存知でしょう。仕事も同じで、どの仕事も本来は社会の中で重要な役割をそれぞれが担っており、その 中に優劣はないのです。
7つの嫉妬心に苦しむ時は、どうかお釈迦様の「青蓮、 黄蓮、紅蓮、白蓮の教え」を思い出して下さい。生まれてくる時は裸。死ぬ時は、地位や財産はあの世に持って行けません。皆平等です。重要 なのは、たましいが「悟っているか」、「迷っているか」のどちらかなのです。(康)

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