五月十二日伊豆御法難会を行ないました。
日蓮大聖人が御歳40才の弘長元年5月12日に伊豆の伊東へ島流しになりました。これを法難と呼びます。教えを弘めることで、国、当時の幕府より罰せられたのです。在島1年9ヶ月あまりで赦されました。
この期間に、いくつもの重要な教えを御手紙の中に著されました。そのなかに「四恩抄」と「顕謗法鈔」があります。
四恩抄(しおんしょう)とは、私たちが本来うけている四つの恩を示し、人として恩を知ることが最も大切で、その恩に報いる生き方をまず始めにしなさいと教えられました。
父母の恩(両親、先祖)
国王の恩(国主、国家、国民)
一切衆生の恩(生きとし生けるもの)
三宝の恩(仏様、教え、伝えるお坊さん)
「知恩をもて最とし、報恩をもて前とす。世に四恩あり、之を知るを人倫となづけ知らざるを畜生とす。」と日蓮大聖人は、他の御手紙にも示されており、動物のように本能に任せた生き方をしてはいけない。人の道は、恩を知り恩に報いることだと教えています。
感謝して、恩返しのために自分の出来る事をしなさいということですが、恩を忘れ、恩にきせるのが私たちではないでしょうか。
顕謗法鈔(けんほうぼうしょう)とは、私たちが本来もっている根本の罪について教えられたものです。
世間一般の罪は、法律を犯し破る行為や社会の道徳的に悪い行ないです。これらは、刑罰や社会的制裁によって罪を滅していきます。
仏教で云う罪は沢山ありますが、それは心からのお詫び、懺悔と善い行いによって、罪が滅していきます。
しかし、お詫びをしても消えない罪があると日蓮大聖人は教えます。その罪こそが、全ての苦しみの原因になっている謗法という罪なのです。謗法とは、仏様の実在を信じないこと、仏様の悟られた真理の教えである法華経を信じなかったり、聞かない、馬鹿にすることなどです。
正しいことやその教えを知らない事が、知らず知らず間違った行ないにつながり、巡り巡って自分自身に苦しみという結果となって返ってくるのです。
この謗法という罪は、法華経を信じ、法華経を弘めることでしか消すことが出来ないのです。
法華経の教えをとうして四恩に報いる生活が、根本の懺悔滅罪となることを、日蓮大聖人は教えています。