今月のおはなし 第29回

実家の43回忌供養においでになったご婦人。前回は仲良くご夫婦でおいでだったのに、ご主人を2年前に亡くし、息子さんと2人で参拝。この日はご主人の母方のお祖母様の供養。ご婦人が
「主人はお祖母さんに『恒ちゃん、恒ちゃんと可愛がってもらったからご供養を続けなくっちゃ』というのが口癖だったの。だから私もお祖母さんの50回忌まで、あと7年。頑張らなくっちゃね」
「そうですね。車で送って法事に同席してくれる息子さんもいるのだし、大丈夫ですよ」
というと、親子二人がニコニコ笑っておいででした。
おそらく43回忌のお祖母さんの供養を、最初は娘であるお母さんが、それを引き継ぎ孫であるご主人さん、そして奥さんへとバトンが託され、何かあればひ孫の息子さんが継いでくれることでしょう。
私たちは遥か昔の先祖様からいのちのバトンを引き継いで生きています。誰一人かけても存在しない私。さらにさかのぼるといのち原点に行きつき、仏様の種をいただいた自分に出会うと法華経は説いています。久遠の昔に授かった仏の種に気付くのですよというのが、いのちに合掌なのです。
【円頓寺 塩田宝裕】

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