今年の三月、世界的に有名なバイオリニストの吉村妃鞠(HIMARI)さんが13歳で世界最高峰と言われるオーケストラ、ベルリンフィルと共演したことが話題となった
HIMARIさんは世界の様々なコンクールで1位を独占し、10歳という最年少で超名門と言われるアメリカの音楽大学に入学を許された実力者
私が初めて彼女の演奏を聴いたのは彼女が8歳の時に優勝したコンクールの演奏である
8歳のHIMARIさんの奏でるバイオリンの音色には彼女が謙虚に音楽に向き合う姿勢と一つ一つの音を大切にする丁寧さが詰まっていて心を動かされた
今回13歳になったHIMARIさんの演奏は言うまでもなく、より一層洗練された素晴らしいものであった
けれども、私が最も感動したのは8歳のときの演奏である
先日、あるお檀家さんにお上人さんのお経は日によって違って聞こえると言われた
その言葉を聞いて、お経をお唱えするときの私の心が日によって違うかもしれないからだとふと思った
クラシック音楽はキリスト教のグレゴリオ聖歌から始まったと言われている
お経をお唱えすることは祈りであり、そこにはお唱えする人の心が表れる
だからこそ、仏さまに謙虚に向き合う心を忘れずにお唱えしなければならないと改めて感じた
【妙伝寺 稲垣友清】