でんでんむしのかなしみ
半田市出身の童話作家・新見南吉の残した作品の中に『デンデンムシノカナシミ』があります。
ある日、でんでんむしは自分の殻の中には 「かなしみ」しか詰まっていないことに気づき、もう生きてはいけないと嘆きます。そこで他のでんでんむしにその話をしますが、私の殻にも悲しみがいっぱい詰まっていると言い、また別のでんでんむしも同じことを言います。そして、最初のでんでんむしは「悲しみは誰でも持っている。私だけではないのだ。私は私の悲しみをこらえていかなければならない」と嘆くのをやめました。
新型感染症の中で自分の悲しみに心が囚われ、その不満を他の人や社会にぶつけている人が増えている今、悲しみをいつまでも嘆くのではなく、悲しみや不安を背負いながらも歩き続ける強さを私たちに伝えていただける作品です。 いのちに合掌
【妙圓寺 竹内寳祥】