いつも、どんなときでも、いのちに合掌

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今回は、すべての人がお互いに尊敬し合って生きることの大切さを教えてくれる「但行礼拝」(たんぎょうらいはい)についてのお話です。
 
法華経の20番目、「常不軽菩薩品」(じょうふきょうぼさっぽん)というお経には、人々を合掌礼拝し続けた一人の菩薩のことが書かれています。
この方は、
「私はあなた方を深く敬います。決して軽んじません。なぜならば、あなたは善い行いをして、必ず仏になる人だからです」
と、どんな地位や身分の人にでも分け隔てなく合掌礼拝をし続けました。時には、馬鹿にされていると思い込んだ心ない人から悪口をたたかれ、石を投げられたりすることもありました。それでも合掌礼拝をし続けて、やがて仏になられたのです。
この常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)のように、あらゆる人々に「敬いの心」をもって、尊敬し合い、拝み合うこと、これが「但行礼拝」です。
 
日蓮聖人は、ご信者の四条金吾に送ったお手紙の中で次のように仰っています。
 
「一代の肝心は法華経、法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり。不軽菩薩の人を敬いしはいかなる事ぞ。教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ。」(『崇峻天皇御書』)

『お釈迦さまが一代で説かれた、たくさんのお経の中で大切なものは法華経であり、その法華経の中で、修行(実践)面での大切なものは不軽品にあります。そこに登場する常不軽菩薩が「私はあなた方を深く敬います」等と言って、人々を敬ったのはどういうことであるのか。お釈迦さまがこの世にお生まれになった本当の目的は、人としての振る舞いを教えることですよ。』
 
「人を敬うという振る舞い、行為」そのものが、仏教、法華経に適った人間生活の基本であり、一般社会で実践すべき最も大事なことである、と日蓮聖人は「敬いの心」をとても大切にされました。
みんなが敬いの心で社会に、人々に関わっていくことができれば、お互いがお互いを大切にする社会(=仏さまの世界)が実現することでしょう。
 
大事なことは、これを信じるだけでなく、行動することです。
自分自身の日常の生活に活かすことです。
ぜひみなさんも、実践してみましょう。
とはいっても、「言うは易く行うは難し」。なかなか実践するのは難しいものです。
そんな時は、常不軽菩薩のお姿を思い浮かべて下さい。
いつも、どんなときでも、いのちに合掌。
「おはようございます」「ありがとう」「おかげさま」「いただきます」の合掌、礼拝。目の前の大切ないのちに手を合わせてください。
きっとあなたの心に、みんなの心に、「敬いの心」は芽生えます。
 
但行礼拝は家庭からはじまります。
夫婦が、親子が、そしてみんなが互いに感謝し合い、助け合い、大切にし合って生きること。
それが素晴らしい社会づくり、立正安国へつながる第一歩です。

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