今日は秋のお彼岸の中日。
お彼岸とは、春分・秋分の日を中心にした一週間をいいます。
仏教では、生死の海を超えた悟りの世界を彼岸(ひがん)といい、その反対側の私たちがいる迷いや煩悩に満ちた世界を此岸(しがん)といいます。昼と夜の長さがほぼ同じ長さになる春分と秋分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考えてお墓参りをし、先祖供養をするようになったのが、今日の「お彼岸」です。
さて、お彼岸に供えられるものといえば、「ぼたもち」と「おはぎ」。
では秋のお彼岸に供えるのはどちらでしょう?
答えは、「おはぎ」。
漢字で書くとピンと来る方も多いでしょう。
春の「牡丹餅」(ぼたもち)、秋の「お萩」(おはぎ)。
どちらも餅米と餡子でつくられた同じものですが、季節の花にちなんで呼び方が違うのです。
餡子の材料の小豆は、古くから邪気を払う効果がある食べ物とされました。
また、春のお彼岸には、種まきや田植えをする耕された田畑を表す「漉し餡(こしあん)」、秋のお彼岸には豊かなみのりを祈って「粒餡(つぶあん)」でつくり、仏さまやご先祖さまにお供えする地域もあります。
お彼岸は、ご先祖さまへご供養するだけでなく、私たち自身が仏道修行を実践する一週間でもあります。
「彼岸」とは悟りの世界。
心穏やかな悟りの境地に至るには、次の6つのことを実践することが求められます。
①「布施」(ふせ)…財や心を他人に施すこと
②「持戒」(じかい)…心を戒めること、他人に迷惑をかけないこと
③「忍辱」(にんにく)…不平不満を言わないこと、腹を立てないこと
④「精進」(しょうじん)…常に努力をおしまないこと、全力で物事にあたること
⑤「禅定」(ぜんじょう)…心を静かに保つこと、反省を忘れないこと
⑥「智慧」(ちえ)…真実を見る智慧、正しい判断力を身につけること
この6つの修行を仏教では六波羅蜜(ろくはらみつ)と呼びます。
6つのこと、みなさんは実践できていますか?
普段の生活に照らして考えてみてください。
頭では思っていても、なかなか実践できないことばかりですよね。
この6つの修行を、春と秋の年2回みんなで実践しようというのが、お彼岸の教えです。
もちろん、お彼岸に、お寺やお墓、仏壇にお参りするのも「六波羅蜜」の実践に通じる大切な仏道修行です。
「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるくらい、お彼岸の季節は穏やかな季節です。
せめてお彼岸の一週間は、お寺にお参りし、心穏やかに、仏道修行に励んでみてはどうでしょうか。
六波羅蜜の修行は、自分の心がけひとつで誰にでもできることです。
6つの修行を通して心豊かな人柄を身につけましょう。