妙法蓮華経方便品第二の一節です。お釈迦さまは難しい教えだから、誤解したらダメだからと法華経を説くことをためらわれます。舎利弗尊者は、どうぞみんなの為に法華経を説いてくださいと、お釈迦さまにお願いされます。しかし、お釈迦さまは法華経を説くことを止めようとおっしゃり、舎利弗尊者が法を説いてほしいと請われる。
3回法を説くことを止めようとおっしゃり、3回請われる。これを三止三請ともうします。
そこまでいうならばとお釈迦さまが法華経を説こうとすると、舎利弗尊者とのやりとりを見ていた五千人の弟子たちが、座より立ってお釈迦さまに礼をしつつも立ち去ります。この弟子たちは、まだ得ていないのに得ていると、出来てないのに出来ていると思い込んでいる罪深いものたちなのです。お釈迦さまは黙って、立ち去るのを止めようとはしませんでした。
そしてお釈迦さまは、ここに残っている弟子たちは正直で素直なものたちである。今から法華経を説こうと宣言されるのです。
少し砕けた書き方をするとお釈迦さまが「今から話したいことは難しいから。誤解されたくありませんので、話すのをやめておきましょう」というと、舎利弗尊者が「そのようなことを仰らず、話してください」というやりとりを三回聞かされたのです。五千人の弟子は「そのように難しいのならば、私たちにはいりません」と立ち去るのですが、お釈迦さまは引き止めてくれないのです。なんだかお釈迦さまの厳しさに怖くなってきます。すべてを許してくださる、導いてくださると思うことは甘えなのでしょうか。時には厳しく、突き放されることもあるのでしょう。
今あるもので満足せず、難しいことに立ち向かう勇気も必要です。