お盆の心

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 今年もお盆の季節となりました。今年のお盆は13日~15日が3連休のため、墓参される方々にとっては都合のいいカレンダーとなりました。というのも、金沢は7月盆ですから、8月盆と違い会社・学校は休みではありません。世知辛い世の中ですから、「今日は家族で墓参りに行きますので、会社お休みします」なんてことは言えません。そんなわけで、13~16日の4日間が全部平日だったりしようものなら、その前の土日から次の土日まで、1週間以上にわたってだらだらとお墓参りが続くなんて年もあり、実はお寺にとっても今年はいいカレンダーでした。
 今年は盆前の1週間は35℃以上の猛暑日が2日もあり、心配しておりましたが、幸い盆に入った途端にやや涼しくなり、助かりました。そうでなかったら還暦を超えた私ですから、きっと熱中症で病院に搬送されていたかも知れません。といいますのも、金沢の盆は棚経はしません。墓経オンリーです。全国的にも珍しい風習だと思いますが、なんでそうなったのかは分かりません。檀家さんに、「お盆はご先祖さまが里帰りをする時でしょ。だったら、お墓は留守なのでは?」と聞かれて、答えに窮します。
 あと、金沢に独特の風習にキリコがあります。墓参する方が、写真にあるように、ご先祖の法号や○○家先祖代々と書いたキリコをお墓の前に吊してお参りするのですが、近年は持ち運びに便利で安い板キリコなるものが流行していることは、昨年のブログに書かせていただきましたが、板キリコ、絶対はんた~い。なんでもかんでも、利便性だけを追求するのはダメ。お盆の心をお忘れなく。
 当山では16日の午後6時30分からお施餓鬼法要です。40分ほどお経をあげた後、お参りに来られたお檀家さんにお手伝いいただいて、全部のキリコにロウソクを入れて火を灯します。暗闇に灯りの列が浮かび上がって、墓地全体がなんとも言えぬ荘厳な雰囲気となります。そこを鉢を鳴らす住職を先頭に、銅鑼・拍子木・引磬と続き、隊列を組んでお題目を唱えながら墓地内を回ります。チン、ジャラジャラ、ボ~ン、カチカチ。チン、ジャラジャラ、ボ~ン、カチカチ。なんとも賑やかですが、金沢ではそうやって御霊を送ります。
 30年ほど前から、全部のキリコにロウソクを灯すことにしています。面倒でもそれがお盆の心。板キリコでは灯りは灯りません。

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