月とウサギの昔話

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「お月様には、うさぎさんが住んでいて
   十五夜になると餅つきをするんだよ。」
「あそこが耳で、臼があって・・・」
と、子供の頃お月様を眺めていると不思議とうさぎさんが見えました。
 
日本に古くから伝わるこの話は、お釈迦さまの過去世の修行の物語。

仲良く暮らす、うさぎときつねとさるが居ました。

3匹は、いつも
「自分達が獣の姿なのはなぜだろう?」
「前世で何か悪いことをしたからではないだろうか?」
「それならば、せめて今から人の役に立つことをしよう!」
ということを話し合っていました。
 
この話を聞いていた帝釈天(たいしゃくてん)は、
何か良いことをさせてあげようと思い
老人に姿を変えて3匹の前に現れます。
 
何も知らない3匹は、目の前の疲れ果てた老人が
「おなかがすいて動けない。何か食べ物を恵んでほしい。」
と、話すと、やっと人の役に立つことができる!と喜んで
老人のために食べ物を集めに行きました。

さるは木に登って木の実や果物を、きつねは魚を採ってきました。

ところが、うさぎだけは一生懸命頑張っても
何も持ってくることができません。

うさぎは、
もう一度探しに行ってくるから火を焚いて待っていて欲しい。
と、きつねとさるに話して出かけていきました。
 
暫くすると、うさぎは手ぶらで戻ってきました。

そんなうさぎを、きつねとさるは嘘つきだと攻め立てます。

するとうさぎは、

「私には、食べ物を採る力がありません。
 どうぞ私を食べてください。」

と言って火の中に飛び込み、自分の身を老人に捧げました。
 
これを見た老人は、すぐに帝釈天の姿に戻り
「お前達の優しい気持ちは、良く解った。
 今度生まれ変わる時には、きっと人間にしよう。
 それにしても、うさぎには可愛そうなことをした。
 月の中に、うさぎの姿を永遠に残してやろう。」
とおっしゃいました。
こうして、月にはうさぎの姿が今でも残っているのです。
このような物語で、お釈迦さまは私たちに伝えています。
 布施の心を、真心を。
 
十五夜
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月
昔の人はうまくいいますね。
お寺でも少しだけ月見をしました。
 
 

月は不思議です。
月と地球と生物の関係
 
ある種の珊瑚は年に一度、満月の夜にいっせいに産卵する。
大地震の多くは新月、満月付近に起きている。
竹取物語、オオカミ男など月にまつわる昔話が多い。
腰、胃、肺、腸、脳、臓器など体のほとんどの部分を表す漢字は月ヘン。
月のサイクルと女性の生理の周期がほぼ同じ。
 
潮の満干は月の引力で起こります。
人体のおよそ3分の2 は「水分」=「海」ですから、海と同様に身体の中で潮の満ち引きが起きているというわけです。
大海を動かすほどの月の引力が人体に影響を及ぼすのは当然でしょう。
人間の出産や死も「満月」や「新月」に多いことなどから私たちの身体は月の満ち欠けの影響をうけています。
 
東洋医学的にも太陽は男性、月は女性と称され、陽と陰の関係です。
暦も生活も食べ物も、全てが関わっています。
そんな事からお寺でも、古くから神様として、太陽(日天子)月(月天子)に御祈願して、病気平癒や健康、女性の身体のことなどを祈ります。
 
もう一つ
片見月(かたみつき)
十五夜または十三夜のどちらか一方しか観ないことを「片見月」「片月見」と呼びます。縁起が悪いのでお気をつけて。

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