お塔婆の意味や建てる目的とタイミング
お墓に建ててある、お経の書かれている木の札(ふだ)のようなものを、卒塔婆(そとうば)または、単に塔婆(とうば)といいます。
この塔婆とはどのような意味があり、なんの目的でだれが建てているのかなどをご説明いたします。
目次
お塔婆はいつからあるの
塔婆を建てる意味とはなに
塔婆はいつ建てるものなか
塔婆に書かれている内容とは
塔婆には種類があるの
まとめ
お塔婆はいつからあるの
いまから2500年前のインドで仏教の開祖であるお釈迦様が誕生しました。
お釈迦様は、多くの人々に尊崇されました。お亡くなりになると火葬にされ、ご遺骨は8つに分けられました。その遺骨をストゥーパ(卒塔婆)とよばれる仏塔に納められました。この仏塔が、お塔婆の原型となっています。
仏塔は土で盛られた小山のようなものから、レンガ作りの建造物まで様々です。仏塔にはお釈迦様の遺骨だけでなく、高僧や教典なども納められています。中国や朝鮮半島を経由
いて日本へも仏塔が伝えられました。
京都にある五重塔は豊臣秀吉が建立しといわれています。また、奈良にある法隆寺や薬師寺などの仏塔は有名で、インドと同様に仏舎利や経典が納められています。
塔婆を建てる意味とはなに
前章で書きましたが、お釈迦様や高僧、教典など尊い方のご遺骨や、経本を納めるのが仏塔といいました。そういう意味で、仏塔と同じ塔婆もまた尊いものをあらわしています。
日蓮聖人は塔婆の意味について以下のように述べておられます。
丈六のそとばをたてゝ、其の面に南無妙法蓮華経の七字を顕はしてをはしませば、北風吹けば南海のいろくづ、其の風にあたりて大海の苦をはなれ、東風きたれば西山の鳥鹿、其の風を身にふれて畜生道をまぬかれて都率の内院に生まれん。況んやかのそとばに随喜をなし、手をふれ眼に見まいらせ候人類をや。過去の父母も彼のそとばの功徳によりて、天の日月の如く浄土をてらし、孝養の人並びに妻子は現世には寿を百二十年持ちて、後生には父母とともに霊山浄土にまいり給はん事、水すめば月うつり、つゞみをうてばひゞきのあるがごとしとをぼしめし候へ等云云。此より後々の御そとばにも法華経の題目を顕はし給へ。
中興入道御消息(御書一四三四頁)
少し長かったかもしれませんが、聖人のお手紙はとてもわかり易くご説明されておりました。
つまり塔婆を建てる功徳は、その風下にいる魚や鳥、鹿までも功徳があります。ましてや父母など身内のために建立した功徳は、計り知れないものがあるのです。
亡くなられた方への徳を忍び、追善や冥福を祈り塔婆を建てる意味は、故人のためだけでなく建立される方へも、その徳が回りまわって来るのです。
塔婆を建てる意味とはなに
塔婆は、法事がないからといって建てられないものではありません。墓がないから建てられないというものでもありません。
また、家には亡くなった人がいないから、塔婆供養をする必要がないというものでもありません。
当然のことですが、誰にでもご先祖様はいます。人は父母との間に誕生します。その両親にもまた父母がおります。その血筋は連綿と受け継がれて、自分が存在しているのです。
つまり自分の存在は、ご先祖様存在した証拠なのです。
ご先祖様の恩恵を受けて、大切な生命得られたのです。また、両親の愛情をうけて育てて頂いた恩は計り知れないものがあります。それに対しての感謝の気持ちを込めて塔婆供養をすることは、大変に良いことなのです。
一年で数度は建立する機会があります。塔婆供養をすることは、ご先祖様や亡き人への感謝や冥福を祈るよい大変に良い機会なのです。
下記に、塔婆供養をする時期を書きましたので参考になさってください。
春秋の彼岸
お盆の時期
祥月命日
月命日
回忌供養
春と秋の彼岸と、お盆の時期は塔婆供養をするよい機会です。
また、一年に一回はおとずれる祥月命日(故人様がお亡くなりになった月日と同じ日)や、月命日(月は違うが同じ日)にも塔婆供養の機会です。
もちろん、各回忌供養の時に塔婆供養をすることは、法事の施主だけがするものでなく、だれにでもおすすめするものです。
塔婆に書かれている内容とは
塔婆に書かれている内容は、宗派によって違いがあり解釈もまた異なります。
日蓮宗では、玄題「南無妙法蓮華経」を日蓮聖人がお書きになった「光明題目」(俗称・ひげ題目)を書き、その下方に供養する方の法号(戒名)や塔婆建立の趣旨を書きます。
そのほか余白があれば建立日、なければ裏面に書きます。またお経の一節を書き記すこともあります。
通常、塔婆には上の方から間隔をあけて切れ込みがあります。このクビレは、日蓮宗では「妙法蓮華経」の五字をあらわしていると言われます。他宗では「五大」をあらわしているとの説もあります。
五字も五大も「宇宙」の構成要素を表現していると説かれています。
塔婆には種類があるの
はじめにも申しましたが、塔婆(卒塔婆・ストゥーパ)は、土を盛った小山や、五重塔のような建造物から、木や紙で出来ているものまで様々です。
財力のある人は、五重塔を建立することもできますが、一般的なものは木や紙で出来ている塔婆です。五重塔を建てても、木の塔婆にしても功徳の軽重に差があるものではありません。差があるとしたら、建立する人の心の違いがあるかもしれません。
日蓮聖人は「丈六の塔婆を建てる」と手紙に書かれていました。「丈六」とは、仏様の背の高さと解釈する人がいます。この丈六を「一丈六尺」とすると、現在の寸法に換算しますと4.8メートルとなり、いくら仏様だとしても5メートルもの背丈であったとは思えません。
私は「丈六」を「背丈が六尺」と解釈しています。仏様はたしかに背の高い方だったようですので六尺とすると、180㎝となり現在の通常の塔婆の六尺と合致します。
また最近のお墓の事情により五尺、四尺、三尺塔婆もあります。その他に角塔婆、経木塔婆(薄い木の板塔婆)や風誦塔婆(小さい塔婆)、水向塔婆(紙塔婆)など目的や用途によってさまざまあります。
まとめ
塔婆はお釈迦様がおられた大昔から存在し、建立する功徳は計り知れないものがあると言われています。
法事には、故人様のために多くのお供え物や線香などを捧げます。その中でも最上のものがお釈迦様のお説きになった法華経を読経することであり、塔婆を建立することです。
法事や彼岸お盆にはご先祖様や大切な故人様にお塔婆を捧げましょう。
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