今年95歳になるお檀家さんが亡くなり、枕経に来てほしいと電話が入りました。「あのおばあさんは信仰熱心だったけど、子供さんがいないはず。誰か親戚の方が電話してくださったのだろう」と思いつつ、集合住宅のお宅へ伺いました。
枕経には、故人の妹の娘さん(姪)と、40代のその息子と娘さん。
「よほどかわいがってもらったんだね。」
「小学生頃からしょっちゅうここへ泊まりに来ていて、食事もごちそうになりました。僕のもう1人のお祖母ちゃんなんです。」
喪主は故人の姪が務めましたが、お布施は喪主の息子と娘が出し合うといいます。お葬式には、小学1年生から20歳までの彼らの子供たちも集まって、にぎやかにおばあさんを送りました。
日蓮聖人は「親は十人の子を養えども、子は一人の母を養うことなし」とおっしゃっていますが、最近は親のお葬式もしないという人も増えているといいます。そんな風潮の中でかわいがってもらった恩返しにと,姪の子やその家族に見送ってもらえたおばあさん。功徳を積むと思わぬ利益をいただける、これこそ「無量珍宝不求自得」なのです。
【円頓寺 塩田宝裕】

