諸行無常
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
有名な平家物語冒頭の句です。諸行無常は仏教思想の一つで、万物は常に変化して少しの間もとどまらないということを意味しています。
人の体をみると、約六〇兆個の細胞で構成されており、赤血球は約一二〇日、血小板は約一〇日、表皮の細胞は約一ヶ月の寿命といわれています。骨は骨芽細胞と破骨細胞がバランスを取りながら、造骨と破骨を繰り返しています。変わらないように見えても、人の体は日々変わっているのです。
人の「こころ」も移ろい易いものです。辛いこと・気に入らないことがあれば鬼や修羅の顔になり、嬉しいこと・楽しいことがあれば仏の顔になります。
日蓮聖人は重須夫人に宛てた手紙に「私達の心の内に地獄があり、また仏様が居られる」と述べられています。
諸行無常の身だからこそ、自らの心に仏を育み、他人の姿に仏を見いだせるような、より有意義な時間(人生)を生きたいものです。
【大光寺 村瀬正光】