法華経はお釈迦様の晩年の八年を費やして説かれた御経です。ずっとお釈迦様に付きしたがっていた弟子の舎利弗尊者などの声聞は、法華経以前の御経では不成仏とされていました。しかし譬喩品第三でお釈迦様は舎利弗尊者に
「私はあなたの過去世においても、師として教え導き、あなたは弟子として修行に励んだ。その縁によって今世で再び師弟関係となった。あなたは未来世にわたって精進することで華光如来となる」
と告げられ、初めて声聞の成仏が許されます。
法華経を信仰する私たちも、過去世に仏様に出会い、仏の種をお預かりしていると説かれています。同時に私たちは、ご先祖様からの遺伝情報を引き継ぎ、この世に誕生しました。私たちの「いのち」は、ご先祖様からと同時に、仏様からいただいた「いのち」でもあります。
仏様からお預かりしている種に気付き、種を育て、次世代に伝える。連綿とつながる「いのち」に感謝する「いのちに合掌」の一年としたいですね。
【円頓寺 塩田宝裕】