カタシの卒塔婆

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檀家さん宅で50回忌のお勤めを行いました。供養の際に卒塔婆を建てますが、簡単に説明を・・お釈迦さまが亡くなられた時、荼毘(火葬)に付され、その遺骨(仏舎利)を分骨し、塔を建ててその中に安置してお祀りいたしました。この塔のことを、古代インドの言葉である梵語(サンスクリット語)で、「ストゥーパ」といいます。「ストゥーパ」が語源となって「卒塔婆」と言います。
このストゥーパが五重塔の起源です。五重の塔はなぜ五重かといいますと、その5つは、この世を形づくる五つの基礎となるものを表しているのですその卒塔婆の頭には、「地」、「水」、「火」、「風」、「空」を表す形が刻みこまれています。
卒塔婆を立てるということは、五重の塔を建てることと同じ意味があるのです。
私たちの地域では、50回忌の際に卒塔婆を建てますが、切込みが入った卒塔婆ではなく、カタシの木を使います。カタシとは椿の事。山に自生している椿を一枝つけて切って両面を削り、卒塔婆に使います。
これは、お勤め後にお墓に立てるのですが、椿は挿し木として根がつきやすく、お墓に立てておくと自然と根がつく。亡くなられた方が、50年を節目に生まれ変わって、その家の後世を見守っていただきたいとの想いから、何時しか始まったそうです。50回忌の卒塔婆として使うため、33回忌の頃に椿の苗を買ってきて庭に植えて準備していたという話も聞きました。
以前は土葬で、墓も土の部分が多かったので、墓地のあちこちに椿が根付いていました。現在では火葬、墓地は石かコンクリートで土の部分はありません。現実的に立てても根付くことはないのですが、亡き人を想う気持ちをカタシの卒塔婆という形で供養を行うことを大事にしたいものです。
 

法華経を信ずる人は冬のごとし、冬は必ず春となる。いまだ昔よりきかず、
冬の秋とかへれることを。いまだきかず、法華経を信ずる人の凡夫となることを。
経文には、「若(も)し法を聞かん者有らば一として成仏せざる無し」と、とかれて候。
                                 日蓮聖人『妙一尼御返事』

「冬は必ず春となる。」
椿という字は「木」に「春」と書きます。苦しみ・悲しみの後には、必ず解決、安らぎの時が来ると日蓮聖人は励まされています。冬は耐える時期であると共に、春に向けて蓄える時期でもあります。椿の花が初春に咲くように・・・・

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