申と猿と寅さんと

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平成28年の新春を迎え、皆様にはめでたくお正月をお過ごしになったこととお慶び申し上げます。
丙申(ひのえさる)
さて、本年の干支は「丙申」の年ですね。
「丙」には、左右にしっかりと開いた字の形から「あきらか」や「さかん」という意味があり、また「申」には、縦線がまっすぐに突き抜けていることから、物事が進み、さらに伸びていくことを意味しています。
そんな縁起のいい「干支」にあやかって、「本年の抱負」(ちゃんとお正月に誓いましたか?)が実るように、物事をしっかりと真っ直ぐに伸ばす一年にしたいものです。
日蓮聖人と猿の意外な関係
さて、「申」と言えば、日蓮聖人と「猿」には様々な伝承があるのをご存知でしょうか?
有名なのは、文応元年(1260年)8月27日の夜、住んでいた鎌倉の草庵が焼き討ちに遭ってしまうという「松葉ケ谷法難(まつばがやつほうなん)」。
この焼打ちから、日蓮聖人の命を救ったのが白猿でした。白猿の案内で、日蓮聖人は草庵のあった松葉ヶ谷(現在の鎌倉の「妙法寺」「長勝寺」「安国論寺」辺り)から、名越の尾根伝いに避難し、岩窟(現在の逗子の「法性寺」)に逃れることができたと伝えられています。また日蓮聖人が一飯のお布施もなく飢えていたとき、猿が食物を持ってきてくれていたとも言われています。
その他にも東京湾の無人島「猿島」には、こんな伝承もあります。
その昔、日蓮聖人が小船で海を渡っていたときのこと。辺り一面が濃い霧に覆われたために方向が分からず船の身動きが取れなくなってしまいました。そこで、船の上で「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えていると、船の軸先に白い猿が突然現れて水先案内をし、そのおかげで無事に近くの島にたどり着くことができたと伝えられています。それ以来、この島は「猿島」と呼ばれています。
帝釈天と寅さん
猿といえば、特に白い毛を纏う「白猿」は帝釈天のお使いともされています。
帝釈天といえば、フーテンの寅さんで有名な「柴又の帝釈天」。
日蓮宗の題経寺というお寺さんです。
この柴又帝釈天の門前には、棒にしがみつく猿をはじいて遊ぶ「はじき猿」という江戸時代から続く柴又名物の民芸品が売られています。
「災難をはじき去る(猿)、そして幸運をはじき寄せる」という意味が込められているそうです。
申年の本年ですから、猿にゆかりのある柴又の帝釈天へお参りしてみてはいかがでしょうか?
柴又帝釈天公式ホームページ http://www.taishakuten.or.jp/
ちなみに、昭和44年(1969年)の8月27日に松竹映画「男はつらいよ」の第1作が公開されたことに由来して、8月27日は『寅さんの日』とされています。
日蓮聖人が白猿に助けられた「松葉ケ谷法難」も同じ8月27日。
これもご縁ですので、最後は寅さんの名言を。

「いいか、人間誰しも欠点というものがあるんだよ」
「しょぼたれるなよ。元気出せ、元気」
「人間、金があるからって決して幸せとは言えないよ」
「やっぱり、真面目にね、コツコツコツコツやっていけば、いつか芽がでるんだから」
「ああ生まれてきてよかった、と思うことが、人間何べんかあるじゃない。そのために人間は生きてるんじゃないかなぁ?」
フーテンの寅さんより  

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