子授けのパワースポット(子宝に恵まれた人々)

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私が住職になる十数年前のことです。常照寺に隣接した家には、ある家族が住んでいらして、その庭が境内からよく見えるのでした。庭には、数羽のアヒルが放し飼いにされていて何人かの子供達が元気よく遊んでいました。今思い出すと大家族だったように思います。
隣なのに詳しく判らないのは、身延山の学校を出るまで私は、別のところで育ったから、今の地区のことは余り知らなかったのです。
 そして、住職になるほんの数年前でしたか、有る方が自分の主人の母親が亡くなって、お葬式は菩提寺のお上人に弔っていただいたのですが、後の七日七日の中陰法要を勤めるには少々遠方過ぎて無理があるので、後は地元のお寺さんを探しなさいという事で私どもの寺を訪ねてこられました。
 師匠から毎週のお勤めに行くよう言われて供養に参り、色々とお話を致しますと、ご夫婦には結婚後数年になりますが子供に恵まれないという話を聞きました。ご主人のお母様はとうとう孫を抱けずに旅立ったので、残されたお父様には孫の顔を見せてあげたいと仰っていました。私は、お寺にいらして御本尊様にお願いしてみたら如何ですかとお勧めしました。
それから暫くしてご夫婦がお見えになり、本堂で暫くの間お題目を唱えていらっしゃいました。それから半年後くらいだったでしょうか、お母様の月参りにそのお宅にお参りすると奥さんが恥ずかしそうに「ありがとうございます。どうやら授かったようです。」とおっしゃいました。
 私も自信満々ではなかったのでびっくりした顔を相手に見せたのを覚えています。お子さんは女の子で、すくすくと育たれ、私がお参りに行きますと親子が揃う時にはちゃんと皆で私の後ろに座り手を合わせていました。今では、このお嬢さんも京都駅の百貨店に勤める社会人です。
 二人目は、お寺のある地元のお花屋さん。田舎の花屋さんは葬儀業も兼ねていることが多く私も花屋のお姉さんとは普段から顔見知りで良く話をしていました。このお姉さんは、私よりも年上で、いつも「生涯一人。仕事が自分の伴侶です。」といっていました。その彼女がある日結婚が決まったと噂で聞きました。すでに40才を過ぎていたように思います。そして、たまにお目に掛かると、「高齢だから、子供は出来ないかも知れない。」そう言っていました。その花屋さんは、普段私どもが花を買いに行くことはあっても、あちらがウチを尋ねてくることはありません。宗旨も違いご縁がなかったのです。しかし、彼女が結婚して5~6年経った頃だったでしょうか。私の父が亡くなり、自坊でお葬式をするに当たって、この花やさんのお力を借りました。お葬式も無事に終えることが出来、私がお礼を言い、その後「お子さんは未だですか?」の話になると「お医者さんもまだ体力はぎりぎり有るから頑張りなさいと励ましてくれます。でもなかなかね。」と半ばあきらめ顔で私に言いました。私が、先の檀家さんのエピソードをお話しすると、「ダメ元だから、お願いしてみます。」といって本堂に上がられたのです。私は、「お念仏じゃアカンよ。お題目をお唱えなさい。」とお勧めすると2~30分はお題目を唱えていらしたでしょうか。わたしは、本当に授かりたいんだなと強く思いました。
 その花屋さんも不思議なことに半年後くらいに見事妊娠、男の子を授かりました。花屋さんは、「あの時本当に心の底からお願いしたんです。おかげさまです。ありがとうございました。」
と喜んでいました。
 さらに、檀家さんでも子供に恵まれないで困っている夫婦がいらして、月参りではその方のご両親やおじいさんとお話をするのですが、子供夫婦にまだ赤ちゃんが出来ないと心配していらしたので、今度皆さんでお寺にお参りなさいとお勧めし、本堂でご祈願法要をして差し上げました。
その時も「当人達だけで御本尊にお題目をお唱えして心から授かるようお願いしなさい」とお勧めしますと、若い夫婦は、二人真剣にお題目をお唱えしていらっしゃいました。
この檀家さんも見事男の子を授かり、ご両親の家には可愛い孫の写真がたくさん飾られるようになりました。
これはもう本物かと思い今回ブログで紹介させていただきましたが、神仏への願いは一方通行ではだめなんです。お願いしっぱなしではだめ。お願いする一人一人がご利益を受けられる資格を持つことこそが大切なのです。資格とは、世の中への貢献であったり人の役に立てるようになること。最も大切なのは正しい仏様の教えを信じ、その正しい教えを弘める役割を担うこと。これが出来ない人は、その役割をしている人に手助けをすることもその方法の一つでしょう。自分だけの私利私欲に走らないことが大前提と仏様は教えられています。

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