1月の頭には、鏡餅を切ります。
本当は鏡開きは1月11日前後ですが、
以前この風習を素直に守ったらお餅がカビてしまい、
それ以来、三が日が終わったらなるべく早めに切ることにしました。
とは言え、これまでは人任せにしてきたので、
今年になって初めて住職自身が挑戦です。
早速包丁とまな板を用意し、カチカチのお餅に包丁を突き立てます。
「えいっ」
お餅はまったく切れません。
包丁の跡が表面にうっすらと残った程度で、
掠り傷すら負わせることができませんでした。
「ぉいっ!」
さっきより強く切ろうとしましたが、
やはり切れません。
刃がお餅に刺さる気配すらなく、
石を相手にしているかのようです。
「ヌ゛ッ」
全体重をかけて包丁の背中を押し、切ろうとしましたが、
微妙に刃が傾いていたらしく、
お餅の縁を刃が滑り、ジャリッという音がしてまな板に包丁がめり込みかけて、
思わず悲鳴を上げました。
危うく指が包丁の錆になるところでした。
さすがにこれでは二進も三進もいきません。
打開策をインターネットで調べたところ、
どうやら電子レンジで軽く両面を温めるといいとのことでした。
3~5分ずつ温めたところ、
確かにようやく包丁が入るくらいの硬度になりました。
とは言え、やってみるとかなりの重労働です。
最初は声を出して気合を入れていましたが、
段々それすらしんどくなったのでほぼ無言で孤独に取り組みました。
お餅を切るためにかかる時間は15分と見込んでいたのですが、
終わってみたら小一時間は掛かっていました。
無事に終わって爽快感はあるものの、
利き手の掌の皮が剥け、
おそらく後日上腕は筋肉痛になると思われ、
さらには腰も痛みます。
住職が必死になって格闘している間に、
山内の人間は切ったお餅を失敬して焼餅にしていたらしく、
醬油をつけて喜んで食べていました。