まず章名の学無学人ですが、現代とは逆になります。つまり学は学ぶところが有る人となり、無学は学ぶことが無い人という意味です。
この章では阿難尊者、羅睺羅尊者と二千人の弟子がお釈迦さまより成佛の保証を授かります。この二千人の弟子が学無学の人にあたります。
阿難尊者はお釈迦さまの侍者であり、常に横に侍り法を多く聞いていたので、多聞第一と呼ばれます。また羅睺羅尊者はお釈迦さまの実子であります。偉大なる父であるお釈迦さまの名を辱めることが無いよう、人知れず秘密にして修行を重ねたことから、羅睺羅尊者は密行第一と呼ばれます。この二人は、修行の段階がまだ未熟でした。
お釈迦さまは成佛の保証を授けるにあたり、阿難尊者の過去世を説かれます。お釈迦さまと阿難尊者は、過去に同じ佛さまのもとで修行をしていました。その時、阿難尊者は常に法を多く聞くことを願い、お釈迦さまは常に精進されました。その結果、お釈迦さまは成佛され、阿難尊者は侍者となりました。阿難尊者は過去世の多くの佛さまの侍者であり、未来世においても多くの佛さまの侍者となってその後に成佛すると説かれます。
次に羅睺羅尊者にも成佛の保証を授けます。羅睺羅尊者はお釈迦さまの実子でありますが、過去世においても佛さまの子として生まれ精進し、また未来世においても佛さまの子として生まれ精進する、と説かれます。
そしてお釈迦さまは、学無学の二千人にも、このまま精進を続ければ、必ず成佛できると保証されます。いまだ未熟であった二千人は、不安であった故に保証を頂き大いに喜びました。
この人記品をもって、法華経の会座のほとんどの人々が成佛できると保証されたのです。