妙法蓮華経の持久走 法華七諭 三車火宅の譬え

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 このたびのお彼岸は「妙法蓮華経の持久走 法華七諭」を掲載します。法華七諭とは、、妙法蓮華経に説かれる七つの譬え話で、妙法蓮華経の理解を促します。

 三車火宅の譬えは妙法蓮華経譬諭品第三に説かれます。お釈迦さまが、舎利弗尊者に説かれます。

 子供がたくさんいる長者がいました。家が火事になり、長者は逃げ出せましたが、子供たちは燃える家の中で遊んでいます。長者は火事から逃げるよう言いますが、子供たちは遊びに夢中なのと、火事の恐ろしさを知らずに家から出てきません。
 そこで長者は子供たちが欲しがっていた、羊が引く宝で飾られた車、鹿が引く宝の車、牛が引く宝の車を用意したから、家から出てきなさいと言いました。すると子供たちは火事の家から出てくることができました。子供たちが宝の車をねだると、子供たちの予想を超える、真っ白な大きな牛の引く宝の車が子供たちに与えられました。

 この諭えでは、長者がお釈迦さま、子供が舎利弗尊者をはじめとする弟子たちにあたります。お釈迦さまにとって人々は、火事の中で遊ぶ子供のようなのです。人々を導きたいのですが、火事の中の子供のように耳を貸しません。そこで、お釈迦さまは、人々が望む教えを説きます。その教えは初心の修行者のものであったり、高等な教えであったりし、この教えは羊車、鹿車、牛車にあたります。喜んで人々は弟子となり、おのおのが望む修行をしていましたが、お釈迦さまが、本当に伝えたかったのは妙法蓮華経であり、真っ白な大きな牛の引く宝の車が妙法蓮華経にあたります。

 この三車火宅の譬えの原稿を書いていますと、我が寺の子供たちが思い浮かびます。宿題などがあるはずなのに、テレビやゲームに夢中なのです。注意をしても「わかってる」などともうして動きません。お釈迦さまならば、どんな宝の車を用意されるかと空想します。しかしお釈迦さまから見れば、住職である私こそが火事の中にいるのかもしれません。

 今一度、自身の日々を見つめ直すのも、お彼岸は良い季節なのでしょう。

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