いよいよ梅雨の時期が近づいてきました。
雨が多く気分もなかなかスッキリしないですよね。
でもお釈迦様の故郷インドでは、春から夏にかけて約3ヶ月も雨季が続きます。
さぞかし皆どんよりとしてるのかと思いきや、実はそうではないようです。
インドの人々にとって雨季はとても大切な時期とされています。
日本では想像出来ないくらいの大雨によって、辺り一面水浸しになり、様々なものが破壊されてしまいます。
しかし同時にその大雨により色々な植物は芽吹き、新たな生命が誕生してきます。
インドの人々にとって大雨は「破壊」と「恵み」をもたらす聖なる存在なのです。
のちにそれは神格化して「シヴァ神」として信仰の対象となっていきます。
さらにこの雨季は、お釈迦様を元とする修行者達にとっても重要な意味がありました。
普段、お釈迦様達は遊行(ゆぎょう)といってインド各地を歩き回りながら教えを説いたり、相談に乗ったりしながら修行していました。
しかし雨季の時期は歩き回るには危険が伴う為、時期が近くなると一箇所に定住し、瞑想修行に入ります。
この修行期間を「安居(あんご)」「雨安居(うあんご)」と呼びます。
「安居」の間は必然的に回りの情報がカットされ、自分自身と向き合う時間となります。
インドの僧侶達は乾季の間は色々な場所へ出て行って話をしたり聞いたりしながら修行を深め、雨季の時期には情報を遮断し、自分自身と向き合う時間にする。
このようなサイクルで修行をしていました。
インドの気候を上手に利用し「社会と関わる時間と自分と向き合う時間」をバランス良く保っていたようです。
お釈迦様もこのバランスを保つ事を大切にされていました。
情報や理屈だけでは心は落ち着かず、自分と向き合うだけでは独りよがりになりがちです。
どちらもバランス良く保つ事で、心も落ち着き、そして上手に社会と関わっていく事が出来ると教えてくれています。
現在の私たちの日常を振り返りますと、情報は十分得る機会があると思います。朝起きてから寝るまで、メールや電話だけでなくSNSなども含めると、起きている間は常時情報に接続しているといっても過言ではありません。
「情報を得る」という事はとても大切な事だと思います。
しかし1日の中でも「情報の時間」と「心を調える時間」をバランス良く保つ事で、日常生活の質が一層向上し、心身ともにスッキリと過ごす事が出来ると思います。
これから梅雨の時期です。
「雨で嫌だなぁ」と思わずに「心を調えたり自分と向き合う時間にしてみよう!」と梅雨の時期を活かしてみてはいかがでしょうか?
ジメジメした季節が、シメシメな日々に変わるはずです。