“葬式仏教正当論―仏典で実証する” 鈴木隆泰著

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日本の寺院に生まれ、仏飯を頂いて育った身として、耳にしていたけれども知らないふりをしていた言葉「日本は葬式仏教だ」「釈尊は葬式を否定している」「日本仏教は堕落した」
などなどのご批判。
インドの仏教と日本の仏教。
それはそれ、これはこれと、もはや別物として考えようと諦めている方も多いだろう。
一仏教ファンならばそれでも良いかもしれない。
しかし、お坊さんはそうはいかない。自分の執行している儀式に一貫した正当性を見いだせなければ、偽りながら法務をこなしている事になってしまう。
インド仏教は本来の仏教であり、描かれるブッダは哲学者のように理路整然としており、神通力のようなものを否定している。一方、日本仏教でのブッダは神格化され、超人的であり、依る教典も後代の付加ばかりである。
このような解釈が仏教学の大勢を占めている中、本当にそうなのか?という疑問に鋭く切り込んだ書籍が本著だ。
私はこの書籍により、インド仏教と日本仏教の間に存在する溝のような距離を、アンタッチャブルなものとするのではなく、その相互間の距離を計り、違いや共通項を探る事が如何に大切かを学んだ。
仏教入門書としては専門的な記述も多いので難しいかもしれないが、日本仏教では一番身近な「葬式」を切り口としている為、大変参考になると思う。
とくに日本の僧侶の方々には是非、読んで頂きたい。
そして、周りと対話をして深めて頂きたいと思う。
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