戦争を知らない子供たち

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研修員最後の一人、香川大慈と申します。よろしくお願いします。
 
布教研修所には研修旅行というものが御座います。今年は戦後七十周年の節目の年という事で、11月16日より鹿児島県の「知覧」に行って参ります。戦時中、知覧基地からは多くの特攻隊が出撃しました。日本の為に亡くなられた方々への慰霊の気持ちを持ち、僧侶としてこの悲劇をどう受け止め、これからの社会に貢献できるか学ばせて頂きたいと思います。
 
私は今年で二十四歳です。戦争を知らない世代です。日本人は私だけではなく、実際に戦争を知らない方が今はほとんどです。昔は、戦争なんて自分には関係ないと思っていました。
しかし、本当にそうでしょうか。
 
皆様は「ルワンダ虐殺」とう事件を御存じでしょうか。
アフリカ中央部に位置するルワンダでおきた民族紛争をきっかけに1994年におきた事件です。ルワンダにはフツ族とツチ族という民族がいました。もともと緊張関係にあったフツ族とツチ族。フツ族の大統領が暗殺されたことが大量虐殺の引き金となります。暗殺はツチ族の仕業であるという「うわさ」がラジオに乗って拡散、そこから悲劇が始まりました。民衆までもが虐殺に加わり、今まで隣人だった人間に襲いかかりました。
わずか100日間で100万人が殺されたといいます。
 
かなり有名な事件ですが、私を含めて今の若者は知らない人が多いようです。
私は高校生の時、「ホテル・ルワンダ」という映画からこの事件を知りました。
大虐殺が起こったルワンダのまっただ中でツチ族を自分のホテルに避難させ、銃口を突きつけられながらも1200人あまりの命を救ったという人物、「ポールさん」という方を主人公にした映画です
私にはこの映画でとても印象的なシーンがありました。ポールさんがホテルに避難し助けを呼ぼうとしたとき、今までの虐殺の様子をビデオで撮っていた記者が言ったセリフ。
 
「世界の人々はあの映像を見て、「怖いね」と言うだけでディナーを続けるよ」
 
記者にはわかっていたのでしょう。もし映像を全世界に放映されたとしても、日本やアメリカ等の先進国が、資源を持たぬこの貧しい国に関心をもつはずがないことを。
 
実際、今この瞬間も世界では戦争が行われています。
私達は戦争を知らないのではなく、知ろうとしていないだけではないでしょうか。
 
日本からするとアフリカは遠い場所です。しかしアフリカの人々は広島を知っています。ルワンダの多くの人は、「虐殺」からの復興の象徴として広島に親近感をもっているそうです。
私達ももっと世界に目を向けて、今起きている世界情勢に目を向けていかなくてはいけないように感じます。
 
立正安国 浄仏国土 南無妙法蓮華経

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