業の利息

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

主任 堀田泰盛
 
秋の深まりとともに、180日余りにわたる第54回目の布教研修所も間もなく修了の日を迎える。人生の出会いと別れ、人の縁と縁が交錯しそして、ほどけていく。
 昨年10月7日、満60歳の誕生日に、今回の布研主任の打診があってから、ずっと考えていたことがあった。
 「何故、この歳になって、布研の主任という重いお役を引き受けることになったのだろうか」。もちろん、主任をお受けすることができたのは、たくさんの方々のお蔭さまだと深く感謝している。しかし、物事には必ず原因がある。その因を引きおこした、過去の業(行いの一切)は何かが、長い間引っかかっていた。
 そしてあることを思い出した。
 今は去ること36年前、私は第19回布研の研修員であった。半年間の集大成として『所報』を発行することになり、私が編集担当になった。無事完成し、いよいよ修了式の当日、とつぜん主任室へ呼ばれた。
 「所報の日程・日課表の最後が11月31日になっているよ」
 完全な校正ミスにより、日程が1日多くなり、30日とすべき所を31日修了式としてしまった。後の祭りである。
 そのまま忘れていたのだが、就任に際して件の『所報』を読み返して、合点がいった。
 ご縁さまのお計らいにより、この1日をとりもどすべく、利息が利息を生んで、ついに180日となって今年降りかかってきたものらしい。莞爾として受け入れるしかない。
 ちなみに、1日が180日になるには利率がどれ程なのか、仮に1年複利として計算してみた。
1日×X(1年目)×X(2年目)X・・・×X(36年目)=180日。つまり1×X36≒180として、Xを求めればよいはずである。
 結果、X=1、16となった。つまり業の利息は年率16%である。因業な高利貸しより低いが、消費税より高いというあたりが、なかなか微妙ではある。
 なるほど、業の清算は1日も早く済ませておかないと、とんでもない結果として返ってくるという事がよーく解かった。クワバラ・クワバラ。
 

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
記事の内容やリンク先については現在と状況が異なる場合がありますのでご注意ください。

一覧へ