今月のおはなし 第17回

良く晴れたある日の朝、洗濯物を干しに庭へと出た。ふと見ると物干し竿の先に何かが着いている。近付いて良く良く見てみると、それは優曇華(うどんげ)の花のようであった。その花は経典によると三千年に一度開くという幻の花であり、咲くと転輪聖王(てんりんじょうおう)という優れた指導者が現れる吉兆だという。・・・種明かしをすると、その正体はクサカゲロウの卵。風に吹かれて透明な糸の先に着けた白い卵が気持ち良さげにゆらゆらと揺れていた。
 珍しい花といえば以前、竹の花が咲いた事があった。その120年に一度咲く花は、思えばコロナ禍の前触れであったように思う。あれから4年、コロナは5類へと移行し今に至っている。
 良い事も悪い事も、糾える縄の如し。そんな時は両手を合わせ『南無妙法蓮華経』と唱えよう。きっと良い方向に事態が向いてくれるに違いない。
【妙光寺 中野妙延】

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