お盆とお施餓鬼の由来を知っていますか?

お寺の年中行事で、7月・8月頃に、お盆『盂蘭盆会』とお施餓鬼『施餓鬼会』法要がそれぞれ営まれます。
実は各々由来の意味が違うのをご存知でしょうか?

お盆(盂蘭盆会)

お盆『盂蘭盆会(うらぼんえ)』とは、お釈迦様のお弟子であり、すぐれた神通力をもつ目連尊者のお話に由来し、お仏壇やお墓の前で手を合わせて、親やご先祖様に報恩追孝を想い、命のつながりを感じられる行事として営まれます。

お施餓鬼(施餓鬼会)

一方、お施餓鬼『施餓鬼会』とは、お釈迦様の説法をもらさず聞いて多聞第一とうたわれる【阿難尊者】に由来します。
ある日、阿難尊者が瞑想をしていると、口から炎を吐く恐ろしい焔口餓鬼が現れ「お前は三日後に命が終わり我らと同じ餓鬼道へ落ちるだろう。しかし、餓鬼道におちて苦しんでいる浜辺の砂の数程の餓鬼たち、そして仏法僧の三宝に供養をすれば、その功徳により、お前は寿命を延ばし我も餓鬼道の苦しみから解放されるだろう」と言われました。
困った阿難尊者は急いでお釈迦様に教えを乞いました。
「あなたは焔口餓鬼の言葉を聞いて、おどろき、おそれ、悩んでいるが悲しむことはありません。あなたがこの難をのがれ寿命を延ばそうと思うのならば、慈悲心を起こし善行をかさね功徳をつめば良いのです。そしてこれから教えるように供養を行えば沢山の餓鬼たちにも飲食の施しが行き届き、寿命を延ばし、大きな功徳が得られます」と仰いました。
早速その通りに施餓鬼法会を行った阿難尊者はその後長寿を得て沢山の人々にお釈迦様の教えを伝える事ができました。
このことから施餓鬼会が行われる様になったとされています。

毎年、お盆の前後に盆施餓鬼として行うことも多いのでお盆とお施餓鬼を混同されがちですが、このようにそれぞれ由来の違いがあります。
盆施餓鬼はその年の初盆を迎える精霊やご先祖の供養を中心に営まれます。
また、施餓鬼会はお盆の時期以外にも行われます。

施餓鬼を行う事は餓鬼供養だけでなく、有縁無縁の精霊の供養でもあり、同時に供養を志す私たちの三毒「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)=怒りや憎しみ等の心の毒」を浄化する仏道修行でもあります。
ご先祖のお盆参りやご供養はもとより自身の心の中の餓鬼(三毒)を供養するためにも、どうぞ施餓鬼会にはお参りをなさってご一緒にお題目をお唱え致しましょう。

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