豊島区観静院で第41世高桑正温師から第43世高桑正路師への法灯継承式が5月24日に営まれた。僧侶檀
信徒約80人が参列し、正温前住職への感謝と正路新住職への期待のお題目を唱えた。
正温前住職は、佐渡・本山妙宣寺へ晋山した41世高桑日能上人の跡を継ぎ、昭和42年同院へ入寺。50年前の日蓮聖人降誕750年には宗務院職員として慶讃事業に携わり円成に尽力した。続く聖人700遠忌では、宗門事業の計画から参画し、中心人物として活躍。日蓮宗が一体となり、報恩の誠を捧げることができた立役者となった。正路新住職も現在宗務院に在職しており、偶然にも正温前住職と同じ降誕事業を担当している。式後に都内で行われた披露宴では、中川法政宗務総長が祝辞のなかで、降誕八百年を円成へ導くための正路新住職の手腕へ期待した。
式では正温前住職が、住職だけが座ることができる「礼盤」に上がり、無事に退隠できることと法灯が継承できることへの仏祖三宝への報恩を捧げ、住職として最後となる役割をつとめあげた。ご宝前で正温前住職から住職の証となる払子を受けとった正路新住職は、緊張した面持ちで初登礼盤。次第に住職としての重責を担う表情で、正温前住職や寺族・檀信徒とともに決意のお題目を唱えた。
住職辞令を伝達した茂田井教洵宗務所長は祝辞に立ち、正温前住職が今に続く近代宗門の礎を作り上げたことに謝意を表し、青年会長などを務めた正路新住職による寺門興隆が管区や宗門の力となっていくことを望んだ。
正路新住職は檀信徒へ向かい「玄関でお線香をいじっていた、幼い頃のイメージがまだ残っていると思いますが、師父の背中を見て、そして母、兄、親族の背中を見てここまで育つことができました。しかし、まだまだ未熟の身であります。祖父や師父のようにはいかないこともあると思いますが、一生懸命に護持繁栄に務めて参ります」と涙ながらに語った。