暑さ寒さも彼岸まで

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合掌 日本独自の行事「お彼岸」がまもなく訪れます。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
まずは、お彼岸に関する一文をご紹介いたします。
「夫(そ)れ彼岸(ひがん)とは春秋(しゅんじゅう)の時正(じしょう)七日(なのか)、信男信女(しんなんしんにょ)あって 若し彼(か)の衆善(しゅぜん)を修(しゅ)して小行(しょうぎょう)を勤むれば生死の此(こ)の岸(きし)より苦海(くかい)の蒼波(そうは)を凌ぎ、菩提(ぼだい)の彼岸(ひがん)に到る時節なり。故にこの七日(なのか)を彼岸(ひがん)と號(ごう)す。(中略)
七日の内に一善(いちぜん)の小行(しょうぎょう)を修(しゅ)すれば必ず佛果菩提(ぶっかぼだい)を得べし。」
 ご紹介した一文は『彼岸鈔(ひがんしょう)』といい、弘安5年(1282年)日蓮大聖人が61歳の時に上野五郎左衛門という信徒さんへお届けになられたお手紙です。
さて、今回は皆さまに簡単にではありますが、お彼岸のお話を記したいと思います。
上記の日蓮大聖人のお手紙の内容を現代の言葉で分かりやすく訳しますと
「春と秋の中日の前後一週間は心にわだかまりを持たずに素直な気持ち、無心で平静な心境で偏見がなく自己の心を開き、自分自身を見つめ直し、自分で出来る善い行いをしなさい。そうすれば心穏やかな彼の岸への道は自ずから開かれるでしょう。(中略)
しかし小悪を犯せば大悪となる時でもあります。」
とお説きになられています。
私たちが生活している、苦しみや迷いが多い世界を此岸(しがん)。生死を離れ安穏な仏さまの世界を彼岸(ひがん)といいます。
では、どうしたら私たちは彼(か)の岸(きし)(彼岸(ひがん))に行くことが出来るのでしょうか。それは『六波羅蜜(ろくはらみつ)』という6つの行(ぎょう)を積むことです。
それでは、6つの行いを紹介しましょう。
・布施(ふせ)(慈悲の心で物を施す)
・持戒(じかい)(決まりごとを守る)
・忍辱(にんにく)(様々な苦難に耐え忍び心を動かさない)
・精進(しょうじん)(何事にも一生懸命取り組む)
・禅定(ぜんじょう)(心の平穏を常に保つ)
・智慧(ちえ)(物事を正しく理解する)
以上、6つの人生の心構えを実践するのです。よくよく考えてみると、この様々な行いは何も春・秋の彼岸の時期だけではなく、日々の普段の生活でも実践出来るのではないでしょうか。
さきほど登場した二つの“此岸(しがん)”と“彼岸(ひがん)”は私たちの心の有り様で常に隣り合わせであり、仏さまがいらっしゃる世界は遠くないのです。彼(か)の岸(きし)に到達するには私たちの心の振る舞い方次第なのです。
どうか、ご一緒にお住まいの家族の皆さまにもこのお話を紹介し、お一人お一人の心に留め置かれ、日々の生活に役立てて頂けたら幸いです。季節の変わり目、お身体をご自愛頂き、お彼岸の時期を健やかに過ごされることを切に願います。
再拝

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