さて、昨年は春と秋2回かけて、日蓮宗のご本尊についてお話しをしましたが覚えていますか?
そうです 日蓮宗のご本尊は大きく分けて2つある。
・『久遠実成本師釈迦牟尼仏』と
・『大曼荼羅ご本尊』です。
これは法華経如来壽量品第16で初めてお釈迦様が
「実は私は今よりももっと過去に生まれて今現在まで教えを説き続けていて、これからも未来永劫まで教えを説き続けていきます」っと初めて言われた真理です!
そして、お曼荼羅の四隅には四天王が配置されていて、その中央には「南無妙法蓮華経のお題目」が掲げられています
その両脇にはお二人の如来様がいらっしゃいます。向かって左側がお釈迦様、そして、右側にいらっしゃるのが多宝如来です。
この「多宝如来」は法華経の「見宝塔品第11」で登場します。お釈迦様が多くの人に真実の教え(法華経)を説いている時、突然、地面より宝塔が現れ、お釈迦様をはじめ、多くの人をその宝塔の中に招き入れ、お説教の続きが行われました。(虚空会説法―こくうえせっぽう)
この時「見宝塔品第11」の初めに「善哉、善哉、釈迦牟尼世尊~皆是れ真実なり」とある通り、この多宝如来は「お釈迦様のお説きになられた法華経が最高の教えですよ」ということをみんなの前で証明するために、宝塔に乗って現れたのでした。
ここまでが前回までのお話しですが・・・
このお話しにはまだ続きがありました。
それが今日のお話しです。
それは・・・・今後、お釈迦様が亡くなってしまった時に
「誰か能く此の娑婆世界に於いて、広く妙法を説かん」とおっしゃったのです。
その時、多くも菩薩たちは「私にやらせてください」と言うとお釈迦様は
「ダメだ!!」と強い口調で否定されました
つづけて
「我が娑婆世界に自ら六万恒河沙等の菩薩摩訶薩あり」と言った。恒河とはガンジス川のこと、沙とは砂のこと。つまり、「この世の中にはガンジス川にある砂の数の6万倍もの菩薩がいて、その菩薩たちに未来のことはゆだねたい」とおっしゃったのです。
そう言った瞬間、地面から多くの新たな菩薩さんが湧き出てきました。それを「地涌の菩薩」(ぢゆのぼさつ)と言います。
お釈迦様は、長年一緒にいた多くのお弟子さんではなく、それとは別の全く新しい菩薩さんに頼みたいとおっしゃったのです。
どうしてでしょう?
それは今までいたお弟子さんが全国各地、全世界を飛び回って教えを広めるのではなく、全国各地、全世界にいる菩薩さんたちに、その場所にあった形ややり方で広めてもらいたいという意味が込められていたのです。
今、日本でも地方再生と言って、地産地消や地元の企業と力を合わせて町おこしをしていきましょうと頑張っていますが、まさにこれと似ています。
多くの人を巻き込んで、みんなで協力しながら教えを広めていきましょうとお釈迦様は言ったのです。
正法(お釈迦様の教えが自然と広まる時代)・像法(正法ほどではないがまだ教えが広まる時代)の時代はもう終わってしまい末法という時代が始まる。
末法という時代には人と人とが手を組んで教えを広めていかなくては、決して広まらないんだということをお釈迦様は人々に伝えたかったのでしょう。
この地涌の菩薩には4人のリーダーがいました。上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩と言います。この4人が中心となって広めてもらいたいとお釈迦様は言ったのです。
その言葉の意味にいち早く気づき行動を起こしたのが、自らが上行菩薩の生まれ変わりだと言った日蓮聖人だったのです。
ここからが重要ですよ・・・!
我々は日蓮宗の宗徒です。そして、日蓮聖人をリーダーとしてその教えを受持しています。そのリーダーの日蓮聖人が地涌の菩薩のリーダーとして教えを広めるための旗頭となったと言うことは・・・我々もまたリーダーと共に教えを広める一人だということです。
分かりますか???
皆さんが住んでいる地域にすごい人が来て、その人が教えを広めてくれるのではないのです。
「我々が、自分の地元で、教えを広めるんですよ!そうしないと末法のこの時代には、教えは広まりませんよ」っといって、お釈迦様は自分の一番大切な弟子ではなく、あえて「地涌の菩薩」つまり、我々に託してくれたのです。
では・・・
託された私たちはどうしたらよいのでしょうか?それはまず、自らの信仰に励むことです。日々の生活をしながらお題目を唱えていくことです。
特にお彼岸の一週間は自らが修行に励む1週間です。彼岸の入りの今日から普段以上にお題目をお唱えいただけたらと思います。
そして、皆さん自身がどうか「地涌の菩薩」の自覚をもって、お題目をお唱えいただけたらと思います。
きっと、いつもとは違ったお題目になることでしょう。
南無妙法蓮華経