令和3年 秋彼岸(大曼荼羅ってなに?)

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さて、前回の春のお彼岸では、日蓮宗のご本尊についてお話しをしましたが、皆さんは覚えていますか?

そうです。日蓮宗のご本尊は久遠実成本師釈迦牟尼仏です。

 これは法華経如来壽量品第16で初めてお釈迦様が説き明かされた姿で「実は私は今よりももっと過去に生まれて今現在まで教えを説き続けていて、これからも未来永劫まで教えを説き続けていくのです」っとおっしゃった。

そして、今回のお話しは、日蓮宗のご本尊は「久遠実成の本師釈迦牟尼仏」と、もう一つ「大曼荼羅ご本尊」もそうなんです!というお話しです。

とは言っても、2つあるというよりは、2つとも同じ意味がありますよ。だから、どちらもご本尊なのですよということです。

なので早速、日蓮宗のお曼荼羅を見ていきましょう。と言いたいところですが、実は日蓮宗以外にもお曼荼羅があることは皆さんご存知ですか?

そもそも世にお曼荼羅を始めて示したのが真言宗(空海)です。(絵曼荼羅)胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅と言います。(写真)

そして、(令和3年春彼岸写真)日蓮宗のお曼荼羅です。

まず四隅には四天王が配置されています。

右上から東を守る持国天、右下に行って西を守る広目天、左上には北を守る毘沙門天(多聞天)、最後に左下の南を守る増長天です。この四天王には特別な役割があります。世界の四隅にいて、外敵に備えることです。

天の邪気と言われる小鬼たちを、足で踏みつけているお像を目にしたことのある人もいるでしょう。あれは、お釈迦様の教えに逆らおうとする邪気を懲らしめ、正しい教えに導こうとしているのです。

 そして、中央には「南無妙法蓮華経のお題目」が掲げられていますが、その両脇にはお二人の如来様がいらっしゃいます。

 それは向かって左側がお釈迦様、そして、右側にいらっしゃるのが多宝如来です。

(ちなみに・・・悟をひらいているのが如来様、悟る寸前の方が菩薩様です)

多分、多くの人はこの「多宝如来」という名前を聞くのは初めてではないでしょうか?この多宝如来は、法華経の「見宝塔品第11」で初めて登場します。お釈迦様が霊鷲山で多くの人に真実の教え(法華経)を説いている時、突然、地面より宝塔に乗って現れ、お釈迦様をはじめ、多くの人をその宝塔の中に招き入れ、お説教の続きが行われました。(虚空会説法と言います)

この時、お釈迦様を自分の右手(向かって左手)に招き、2人の如来さんが並んで座っています。(二仏並座と言います)この形を見たことがある方はいると思います。皆さんのお家のお仏壇の中に、お題目が中心にありその両脇に如来様が2人並んで座っているお像あるという家もあると思います。

 では、なぜ多宝如来は現れたのかというと

法華経の見宝塔品第11の初めに「善哉、善哉、釈迦牟尼世尊~皆是れ真実なり」とある通り、この多宝如来は「お釈迦様のお説きになられた法華経が最高の教えですよ」ということをみんなの前で証明するために、宝塔に乗って現れたのです。

 そして、これらの虚空会の様子を初めて文字として現したのが日蓮聖人の大曼荼羅ご本尊です。そして、その大曼荼羅ご本尊を仏像として現しているのが、この妙海寺の御宝前です。虚空会(多宝如来の宝塔の中)において、まさにお釈迦様が真実の教えを話している情景を現したのが大曼荼羅ご本尊で、その内容、つまりお釈迦様が永遠の命を以って、真実の教えを過去、現在、未来において説き続けていますよという真理が久遠実成の本師釈迦牟尼仏なのです。

 今日のお話しを聞くまでは、お仏壇の一番後ろに貼ってある「この掛け軸は何だろう」と思っていた人も多いのではないでしょうか?しかし、それこそ、日蓮宗の我々にとって一番大切なご本尊だったのです。

 他の宗派や宗教と比べて、日蓮宗のご本尊は少し複雑かもしれません。しかし、崇む対象としては教えそのものなので、とても明確で分かり安いと思いませんか?

空海さんや日蓮聖人を本尊として崇める宗旨もありますが、お釈迦様は常に「依法不依人」(えほうふえにん)つまり、「法に依って人に依らざれ」といつも「一番大切なのは教えなんですよ」とおっしゃっていました。なので、我々は常に教えを中心としなくてはならないのです。

 そして、久遠実成の本師釈迦牟尼仏も大曼荼羅ご本尊も中心には「南無妙法蓮華経のお題目」があります。この法華経という教えの一番の中心は「お題目」なのです。

 今日も皆さんと一緒にお題目をお唱えします。多宝如来も証明してくれました「南無妙法蓮華経」のお題目です。どうか大きな確信をもって一遍一遍お唱えいただけたらと思います。太鼓に夢中になって、お題目がおろそかになるとそれは本末転倒になってしまいますよ。

 どうか心を込めてお唱えいただけたらと思います。

 南無妙法蓮華経

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